FPは生活が破綻する前に家計・収入・制度利用・債務・住まいを整理し、早めに支援へつなぐ人として支援します。
特に重要なのは、生活保護の一歩手前で利用できる生活困窮者自立支援制度との連携です。
この制度には家計の見える化や支援計画作成、関係機関へのつなぎ、必要に応じた貸付のあっせんなどを行う「家計改善支援事業」があります。(厚生労働省)
FPができる主な支援
1. 家計の「見える化」
まず、収入・支出・借入・滞納・資産を整理します。
たとえば、次のような項目です。
| 確認項目 | と内容 |
|---|---|
| 収入 | 年金、給与、児童手当、傷病手当、失業給付など |
| 支出 | 家賃、保険料、通信費、車、教育費、医療費 |
| 借入 | カードローン、リボ払い、奨学金、住宅ローン |
| 滞納 | 家賃、税金、国保、年金、公共料金 |
| 資産 | 預貯金、保険解約返戻金、不動産、車 |
生活困窮に陥る人の多くは、「お金が足りない」だけでなく、
どこで家計が崩れているのか本人も把握できていないことがあります。FPはここを整理できます。
2. 支出削減よりも「固定費の再設計」
節約というと食費や日用品を削る話になりがちですが、効果が大きいのは固定費です。
FPが見直せるものとしては、
「保険」
「通信費」
「サブスク」
「自動車関連費」
「住宅ローン」
「家賃」
「教育費」
「クレジット返済」
などがあります。
特に注意したいのは、保険料・住宅費・車・借金返済です。
これらの負担が重いと、いくら食費を削っても生活は安定しません。
3. 公的制度につなぐ
必要に応じて自治体や専門機関につなぐことが重要です。
代表的には、以下のような制度・窓口があります。
| 状況 | 「つなぐ先・制度」 |
|---|---|
| 失業・収入減少 | ハローワーク、雇用保険、求職者支援制度 |
| 家賃が払えない | 住居確保給付金、自治体の生活困窮窓口 |
| 借金が重い | 法テラス、弁護士、司法書士 |
| 病気で働けない | 傷病手当金、障害年金、医療費助成 |
| 高齢で生活が苦しい | 年金事務所、地域包括支援センター |
| 子どもがいる世帯 | 児童扶養手当、就学援助、子ども食堂、学習支援 |
生活困窮者自立支援制度では、自立相談支援や住居確保給付金が全国の自治体で実施され、家計改善支援、就労準備支援、子どもの学習・生活支援なども用意されています。(みんなつながるネットワーク)
4. 借金・リボ払い・滞納の早期発見
生活保護に至る前段階で多いのが、借金の雪だるま化です。
特に危険なのは、「リボ払い」「カードローン」「税金滞納」「家賃滞納」「国民健康保険料の滞納」です。FPは返済表を作り、返済可能性を確認したうえで、任意整理や自己破産など法的整理が必要な場合は弁護士・司法書士へつなぎます。
5. 収入を増やす選択肢を一緒に考える
支出削減だけでは限界があります。
働き方や収入源の見直しも支援できます。
たとえば、扶養内パートから「社会保険加入の働き方」に変える。
年金の繰上げ・繰下げを検討する。
副業収入を作る。
資格取得や職業訓練につなげる。
家に眠っている資産を活用する。といった選択肢です。
ただし、病気・介護・障害・育児などで働けない事情がある場合は、「頑張って働きましょう」ではなく、福祉制度や社会保険制度につなぐことが優先です。
6. 高齢者の生活保護予防
高齢者の場合、生活保護に至る原因は「年金不足」「医療・介護費」「住宅費」「配偶者の死亡」「認知症」「子どもへの援助」などです。
FPができることは、年金見込額の確認、遺族年金の試算、介護費用の見積もり、持ち家の活用、住み替え、リースバックや任意売却の注意点、相続前の資産整理などです。
特に70代以降は、資産はあるが現金がないというケースもあります。
持ち家、不動産、保険、預貯金を整理し、生活費に変える方法を検討することが重要です。
7. 「生活保護を受けるべきケース」を見極める
生活保護は、憲法に基づく最後のセーフティネットです。
したがって、病気、障害、高齢、失業、DV、ひとり親、介護離職などで生活が成り立たない場合は適切に相談窓口へつなぐべきです。
「生活保護を使わなくても暮らせる人には早期支援を」
「生活保護が必要な人には確実に制度へつなぐ」
が大切です。
FPによる支援の流れ
①家計・債務・資産・収入の整理
②生活費の不足額を確認
③3か月後・6か月後・1年後の資金ショートを予測
④固定費、借金、保険、住居費を見直す
⑤使える公的制度を確認
⑥必要に応じて自治体、社協、法テラス、年金事務所、地域包括支援センターへつなぐ
⑦再発防止のため、家計管理表を一緒に作る
家計管理や生活設計、資産形成などのお金の悩みについて専門家に相談できる無料体験相談が実施されています。
こうした公的・中立的な相談先も有効な選択肢です。(金融庁)
FPが支援できる具体例
たとえば、次のような相談者です。
60代単身女性
年金月9万円、家賃5万円、貯金30万円。カードローン残高80万円。
この場合、FPは家計表を作り、家賃負担率、借金返済、医療費、保険料を確認します。
そのうえで、住居確保給付金や自治体相談、債務整理、年金の確認、生活保護申請の可能性まで含めて整理します。
40代ひとり親世帯
収入はあるが、教育費と家賃で毎月赤字。
この場合、児童扶養手当、就学援助、奨学金、教育費の優先順位、保険の見直し、家計管理、転職・職業訓練などを一緒に検討します。
70代夫婦
持ち家はあるが年金だけでは生活費が不足。
この場合、固定資産税、修繕費、介護費、遺族年金、住み替え、持ち家売却、リバースモーゲージのリスクなどを整理します。
まとめ
FPが生活保護予防のためにできることは、単なる節約アドバイスではありません。
家計を見える化し、破綻の時期を予測し、使える制度を整理し、必要な専門機関につなぐことです。
特に重要なのは、以下の5つです。
①家計・債務・資産の見える化
②固定費と借金の早期見直し
③公的制度への橋渡し
④働き方・年金・住まいの再設計
⑤生活保護が必要な人を適切につなぐ判断
FPは、生活保護を「避ける」ためだけでなく、相談者が孤立せず、制度と家計の両面から生活を立て直すための伴走者になれます。
