社会人になる前に必須「大学生のための金融知識ガイド」

社会人になる前に必須「大学生のための金融知識ガイド」

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

「お金の話は社会人になってからでいい」「まだ学生だから関係ない」
そう思っている大学生は少なくありません。

しかし実際には、お金の知識があるかどうかで社会人スタート時点から大きな差が生まれます。
給料の使い方、貯金の仕方、投資との付き合い方を知らないまま社会人になると「なんとなく」で判断して気づけばお金が残らない生活に陥りがちです。

このコラムでは、社会人になる前に知っておくべき最低限の金融知識を分かりやすく解説します。


なぜ学生のうちにお金の知識が必要なのか

金融知識がないまま社会人になると多くの人が次のような失敗を経験します。

・初任給で気が大きくなり、浪費癖がつく

・クレジットカードを使いすぎて支払いが苦しくなる

・保険や投資の勧誘を断れず、よく分からない商品に加入してしまう

・「貯金しよう」と思いながら何年も先延ばしになる

これらはすべてお金の仕組みを知らないことが原因です。

学生のうちは収入が少ない分「失敗しても傷が浅い」という大きなメリットがあります。
社会人になってから学ぶよりも学生のうちに基礎を知っておく方が圧倒的に有利なのです。


社会人になると変わるお金の流れ

社会人になると「お金の流れ」は大きく変わります。

① 給料から自動的に引かれるお金が増える

初任給を見て「思ったより少ない」と感じる人は多いですが、その理由は税金や社会保険料です。
学生時代にはなかった以下の支出が発生します。

・所得税、住民税

・健康保険料

・年金保険料

「手取り=自由に使えるお金」ではないという感覚を持つことが重要です。

② 固定費が生活を左右する

家賃、通信費、サブスク、保険料などの固定費は一度決めると見直しづらくなります。
社会人になって最初に決めた支出設計が、その後の貯金スピードを大きく左右します。

③ 自己責任の範囲が一気に広がる

学生時代は親が管理してくれていたお金も、社会人になるとすべて自己責任です。
「知らなかった」では済まされない場面が増えるため、事前の知識が不可欠です。


最低限知っておくべき金融用語

社会人になる前に、次の用語は最低限押さえておきましょう。

  • 手取り
     給料から税金や社会保険料を差し引いて、実際に受け取れる金額。

  • 額面給与(総支給額)
     税金などが引かれる前の給料。求人票に書かれている金額は基本この金額です。

  • 所得税
     収入に応じて国に納める税金。毎月の給料から天引きされる。

  • 住民税
     住んでいる自治体に納める税金。社会人2年目から本格的に引かれる。

  • 社会保険料
     健康保険・年金などの保険料。給料から自動的に引かれる。

  • 国民年金/厚生年金
     老後に受け取る年金制度。会社員は厚生年金に加入する。障害を負った際には障害年金として受け取れる。

  • 固定費
     家賃や通信費など、毎月ほぼ一定で発生する支出。

  • 変動費
     食費や交際費など、月によって金額が変わる支出。

  • クレジットカード
     現金の代わりに使えるが、実際は「後払い」。使いすぎに注意。

  • リボ払い
     毎月の支払額が一定になる仕組み。利息が高く、初心者は避けたい。

  • 分割払い
     支払いを複数回に分ける方法。回数が増えるほど手数料が増える。

  • 利息
     お金を借りたり預けたりした際に発生する「使用料」のようなもの。

  • 利回り
     投資でどれくらい増えるかを示す割合。年率で表されることが多い。

  • インフレ(インフレーション)
     物価が上がり、お金の価値が下がる状態。

  • デフレ(デフレーション)
     物価が下がり、モノが安くなるが景気が悪くなりやすい状態。

  • 投資
     お金を増やす目的で資産にお金を投じること。リスクが伴う。

  • リスク
     価格が変動する幅のこと。「危険」という意味だけではない。

  • リターン
     投資によって得られる利益。リスクと表裏一体。

  • 元本
     最初に投じたお金。投資では減る可能性もある。

  • 元本割れ
     投資や運用で、元本よりも金額が減ること。

  • 分散投資
     一つに集中せず、複数に分けて投資する考え方。

  • 積立
     毎月コツコツ一定額を貯金・投資する方法。

  • 複利
     利益がさらに利益を生む仕組み。時間を味方につける考え方。

  • 生活防衛資金
     病気や失業などに備えて確保しておくお金。目安は生活費3か月分程度。

  • 奨学金
     学費のために借りるお金。多くは社会人になってから返済が始まる。

  • ローン
     高額な買い物のためにお金を借りる仕組み。利息が発生する。

  • 信用情報
     クレジットカードやローンの利用履歴。将来の審査に影響する。返済を滞納しないよう注意。

  • 金融リテラシー
     お金を正しく管理・判断するための知識と判断力。

これらの言葉が分からないまま契約書や金融商品の説明を読むのは非常に危険です。


知らないと損する制度

日本には知っている人だけが得をする制度が数多く存在します。

① 税金の仕組み

住民税は「前年の収入」をもとに計算されるため、社会人2年目に手取りが減るケースがあります。
仕組みを知らないと「給料が下がった」と勘違いしやすいポイントです。

② 少額から始められる資産形成制度

長期的にお金を増やす仕組みは早く始めるほど有利になります。
NISAやiDeCoなど、社会人になってから慌てて調べるより、学生のうちに概要を理解しておくことが大切です。

③ 奨学金は「借金」である

奨学金は社会人になってから返済が始まります。
毎月の返済額を把握せずに生活設計をすると家計を圧迫する原因になります。


今からできる準備

社会人になる前に次の行動を意識してみてください。

① 自分のお金の流れを把握する

アルバイト収入でも構いません。
「収入・支出・残るお金」を把握するだけで金銭感覚は大きく変わります。

② クレジットカードの仕組みを理解する

カードは便利ですが「後払い」であることを忘れると危険です。
分割払いやリボ払いの仕組みは必ず事前に理解しておきましょう。

③ お金の勉強を習慣にする

難しい本を読む必要はありません。
信頼できる情報源で少しずつ知識を増やすことが重要です。

④ 相談できる相手を見つける

お金の悩みは一人で抱えがちです。
早い段階から信頼できる専門家や相談先を知っておくと安心です。


まとめ

お金の知識は社会人としての「生きる力」そのものです。
学生のうちに正しい知識を身につけておくことで、

・無駄な出費を減らせる

・将来への不安が軽くなる

・自分で選択できる人生に近づく

といった大きなメリットがあります。

社会人になってから後悔しないためにも、
「今は学生だからこそ」お金と向き合う時間を持つことが、将来の自分への最高の投資になります。

2026/1/11