「金(ゴールド)を購入する様々な方法」積立・投資信託などの特徴と選び方

「金(ゴールド)を購入する様々な方法」積立・投資信託などの特徴と選び方

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

インフレ懸念や地政学リスクが高まる中、「金(ゴールド)」への注目が高まっています。
2025年現在、金価格は過去最高値を更新し続けており、円安や米国の金融政策の影響もあって投資対象としての魅力が増しています。
しかし一口に「金を買う」と言っても、実際には複数の方法が存在します。

ここでは代表的な5つの手段──「現物」「コイン」「積み立て」「投資信託」「ETF」の特徴と選び方を詳しく解説します。


1.現物(金地金)で「安全資産」を持つ

金投資の中でも最も伝統的な方法が「金地金(インゴット)」を購入して保有する方法です。
1kgバーだけでなく、100gや10gといった小口の地金も人気です。

メリット

  • 現物資産としての信頼性:世界中のどの国でも価値を認められている。

  • インフレや通貨危機への強さ:紙幣価値が下がっても金は実物資産として価値がある。

  • 相続や贈与にも活用可能:持ち運びが容易で資産移転にも使える。

デメリット

  • 保管リスク:盗難・火災などのリスクがある。

  • 手数料がかかる:売買する際に手数料が発生する。

現物の金は、「信用リスクゼロの資産」として保有する価値があり、特に長期保有や資産防衛を目的とする投資家に向いています。


2. コイン(金貨)で楽しむ「実物保有」の投資

「金を手元に持ちたい」という人には、金貨(コイン)もおすすめです。
代表的なものに「ウィーン金貨ハーモニー」「カナダメープルリーフ金貨」「オーストラリアカンガルー金貨」などがあります。

メリット

  • 実物を手にできる安心感:所有欲を満たしながら資産を保全できる。

  • 世界共通の資産価値:どの国でも換金性が高い。

  • 贈答用・相続対策にも有効:コンパクトで高価値、形見分けにも適している。

デメリット

  • 盗難・紛失リスク:自宅保管の場合はリスク管理が必要。

  • 購入プレミアムが上乗せ:金の市場価格よりも数%高く販売される。

コインは資産と美術的価値を兼ね備えています。またインフレ対策として現物を保持したい富裕層にも人気です。


3.積立による「コツコツ型」のゴールド投資

もっとも手軽に始められるのが「金の積立投資」です。
証券会社や貴金属販売会社(例:田中貴金属、三菱マテリアルなど)が提供するサービスを利用し、毎月一定額を積み立てて金を購入します。

メリット

  • 少額から始められる:月1,000円〜など、初心者でも無理なくスタートできる。

  • ドルコスト平均法の効果:価格が高いときには少なく、安いときには多く買えるため、長期的に平均購入価格を下げられる。

  • 保管リスクがない:業者が金を保管してくれるため、盗難リスクを回避できる。

デメリット

  • 手数料が高め:スプレッド(買値と売値の差)がやや大きい場合がある。

  • 現物を引き出すには費用がかかる:引き出しや配送に手数料が必要。

積立は、「長期でコツコツ貯めたい」「価格変動に一喜一憂したくない」タイプの投資家に向いています。


4.投資信託で「分散」ゴールド運用

もう一つの手段が「金関連の投資信託」です。
投資信託では、金価格に連動する運用だけでなく金鉱株や関連企業に投資するタイプも存在します。

メリット

  • 少額から始められる:100円単位から購入できる。

  • 自動積立が可能:NISAなどを活用して購入できる。

  • 分散投資効果:複数の金鉱企業に分散して投資可能。

デメリット

  • 信託報酬(運用コスト)がかかる:長期ではコスト差がリターンに影響。

  • 金そのものを持てない:現物の裏付けがない場合も多い。

金投資信託は、ETFと同様に金融商品としての金価格連動型投資を求める層に適していますが、「運用のプロに任せたい」初心者層に特に向いています。


5.ETF(上場投資信託)で手軽に「金融資産としての金」へ投資

証券口座を持っている人なら、もっとも効率的に金へ投資できるのがETF(上場投資信託)です。
日本では「SPDRゴールドシェア(1326)」「純金上場信託(1540)」などが代表的です。

メリット

  • 証券口座で簡単に取引:株式と同じようにリアルタイムで売買可能。

  • 少額でも分散投資が可能:現物を買うより手軽。

  • 保管コストが不要:現物管理の手間が省ける。

デメリット

  • 為替の影響を受ける

  • 現物の引き出しができない:価格連動型であり、実物の金を持てるわけではない。

ETFは、「短期売買」や「リスク分散」を重視する投資家に最適です。
例えば、ポートフォリオの一部を金ETFに充てることで、株式市場の下落局面でも資産の安定性を保つ効果があります。


6. 各手法の比較まとめ

投資方法 主な特徴 初期コスト 保管リスク 向いている人
積立 少額からコツコツ購入 なし 長期積立派、初心者
コイン 実物を保有できる あり 美術的価値も重視する人
ETF 株式のように取引可 なし 短期・中期投資家
現物(金地金) 安全資産の象徴 あり 富裕層、長期保有派
投資信託 分散・自動運用 なし 初心者・制度口座利用者

7. 投資戦略としての金の位置づけ

金は配当を生まない「保守的な資産」ですが、株式や不動産と逆相関の動きを示すことが多く、ポートフォリオ全体の安定化に寄与します。
世界的な金融不安や通貨安局面では、「安全資産」として買われやすい傾向があります。
そのため、資産の一部を金関連資産に配分することでリスクを抑えることができます。


8. 「守り」と「安心」を兼ね備えた金投資

金は利息を生まない一方で、「価値を守る」効果が圧倒的に強い資産です。
積立やETFで気軽に始めるもよし、現物やコインで確実に保有するもよし。
目的に応じて最適な方法を選べば、インフレや市場の混乱から資産を守る「防衛資産」として機能します。

未来は誰にも予測できません。
だからこそ、ペーパーアセットではない「現物資産」を一部でも持つことが、これからの時代の堅実なリスクヘッジなのです。

2025/11/5