マイホーム購入を考えたとき、多くの人が最初に気になるのが「住宅ローンはいくらまで借りられるのか」という点です。
銀行の事前審査を受ければ、年収や勤務先、勤続年数などから借入可能額の目安が出ます。
しかし、本当に大切なのは借りられる額=借りてよい額ではないということです。
金融機関が貸してくれる金額と、あなたの家計が無理なく返済できる金額は別物です。
ここを勘違いすると、せっかくのマイホームが家計を圧迫し、生活の自由を失う原因にもなります。
今回は、住宅ローンはいくらまで借りていいのか、その考え方をわかりやすく解説します。
借りられる額と借りてよい額は違う
金融機関は、年収に対する返済比率や信用情報などをもとに融資額を判断します。
年収500万円の方でも、条件次第では3,500万円〜4,500万円前後の借入が可能なケースもあります。
ですが、銀行はあなたの人生設計までは見てくれません。
たとえば、以下のような支出は審査では十分に反映されないことがあります。
・子どもの教育費
・車の買い替え費用
・老後資金の準備
・旅行やレジャー費
・親の介護費用
・将来的な収入減少リスク
つまり、審査に通ったから安心ではなく、返済を続けられるかが本質です。
住宅ローンは年収倍率だけで決めない
よく「年収の5倍までなら安全」「7倍でも大丈夫」などと言われます。しかし、同じ年収でも家計状況は人それぞれです。
たとえば年収600万円でも、
・共働きで子ども1人、貯金500万円ある家庭
・片働きで子ども3人、車2台所有の家庭
では、無理なく返済できる金額は大きく異なります。
年収倍率はあくまで目安です。数字だけで判断すると危険です。
安全な借入額は「毎月返済額」から逆算する
住宅ローンを考えるときは、借入額ではなく毎月いくら返済するかから考えるのが基本です。
一般的には、住宅ローン返済額は手取り月収の20〜25%以内に収めると安心感があります。
たとえば、手取り月収35万円なら、
・20% → 7万円
・25% → 8.75万円
この範囲に収まれば、教育費や貯蓄との両立がしやすくなります。
逆に、毎月12万円以上の返済になると、少しの出費増加でも家計が苦しくなるケースがあります。
ボーナス払い前提は注意が必要
住宅ローンの返済計画でありがちなのが、ボーナス払いを多く組み込む方法です。
たしかに毎月返済額は軽く見えますが、ボーナスは会社業績や景気で変動する可能性があります。将来的に減額・廃止されることもあります。
そのため、住宅ローンは月給ベースで返済できる設計が理想です。ボーナスは繰上返済や貯蓄に回せる形のほうが安全です。
見落としやすい「家を買った後の支出」
住宅購入では、ローン返済以外にも多くの固定費が発生します。
戸建ての場合
・固定資産税
・修繕費(外壁・屋根・設備交換)
・火災保険、地震保険
マンションの場合
・管理費
・修繕積立金
・駐車場代
・固定資産税
特にマンションは、購入時より管理費や修繕積立金が将来的に上がっていきます。
「ローン返済だけ」は危険です。住居費全体で判断することが重要です。
将来のライフイベントも織り込む
住宅ローンは30年〜35年と長期間です。その間には人生の変化があります。
・出産、育休
・転職、独立
・子どもの進学
・親の介護
・自身の病気やケガ
・定年退職
今の収入だけでギリギリ組むと、将来の変化に対応できません。
少し余裕を残して借りる人ほど、長期的には安心して暮らせます。
迷ったら「買える家」より「自分たちに合った家」
住宅購入時は、どうしても理想の立地や広さを求めたくなります。
しかし、背伸びした物件を買って生活が苦しくなれば本末転倒です。
大切なのは、
・旅行に行ける余裕
・教育費を準備できる余裕
・老後資金を積み立てる余裕
・万一のときに耐えられる余裕
この「余裕」を残せる住宅ローンこそ、良い借り方です。
【まとめ】住宅ローンはいくらまで借りていい?
答えはシンプルです。
銀行が貸してくれる上限までではなく、人生を楽しみながら返せる額まで。
住宅ローンは人生最大級の買い物です。だからこそ、物件価格だけでなく、家計・将来設計・安心感まで含めて判断することが重要です。
「いくら借りられるか」ではなく、
「いくらなら幸せに暮らし続けられるか」
この視点で考えることが、後悔しないマイホーム購入への第一歩です。
【執筆者プロフィール】
株式会社FAMORE 代表取締役/ファイナンシャルプランナー 武田拓也
資産運用・不動産投資・ライフプラン設計を中心に、これまで数多くの個人・法人の資産形成をサポート。
NISAやiDeCoなどの制度活用から、富裕層向けの分散投資戦略まで幅広い分野に精通している。
実務経験に基づいた「再現性の高い資産運用」を強みとし、初心者にもわかりやすい解説に定評がある。
近年はセミナー・講演活動やメディア出演、コラム執筆にも力を入れており、大学にてファイナンシャルプランニングの講座を担当。
幻冬舎ゴールドオンラインにてコラム連載中
金融リテラシーの向上を通じて、誰もが安心して資産形成に取り組める社会の実現を目指している。
【著書】
・なぜあの人は「老後のお金」に困らないのか?
・投資でお金が増える基本の仕組み
・「富裕層が実践している投資」はAmazon金融・投資部門(kindle)で1位を獲得。
【保有資格】
AFP・社会福祉士・高校教諭1種「福祉」・証券外務員2種
【投資経験】
株式投資20年、投資信託17年、債券12年、不動産投資13年、海外投資15年
