住宅ローンは繰上返済と投資どっち?FPが教える後悔しない判断基準

住宅ローンは繰上返済と投資どっち?FPが教える後悔しない判断基準

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

住宅ローンを組んで数年経つと、多くの人が一度は悩むテーマがあります。
「余裕資金は住宅ローンの繰上返済に使うべきか?それとも投資に回すべきか?」
この選択は、将来の資産形成や家計の安定性に大きな影響を与えます。

本記事ではファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、
繰上返済と投資それぞれのメリット・デメリット、判断基準、家庭別の考え方、そして実際に「繰上返済して後悔した事例」まで詳しく解説します。

住宅ローンに関する「よくある悩み」

住宅ローンを抱える方から、FP相談で特に多い悩みは次のようなものです。

・金利が上昇している今、繰上返済する意味はあるのか

・投資した方が増えそうだが、借金が残るのが不安

・老後資金を考えると、どちらを優先すべきかわからない

・教育費や将来の支出を考えると、手元資金を減らすのが怖い

・周囲から「ローンは早く返した方がいい」と言われ迷っている

この悩みの背景には、「正解が一つではない」という住宅ローン特有の難しさがあります。


それぞれのメリット・デメリット

繰上返済のメリット

・利息負担を確実に減らせる
繰上返済は返済額や返済期間を短縮することで将来支払う利息を確実に減らせます。

・心理的な安心感が大きい
借金が減ることで精神的なストレスが軽くなります。

・老後の固定費を減らせる
定年前後に完済できれば老後の生活費が安定します。

繰上返済のデメリット

・手元資金が減る
一度返済に回したお金は、原則として戻せません。

・インフレに弱い
物価上昇局面では、低金利ローンは「実質的に目減り」します。

・投資機会を逃す可能性
運用に回していれば得られたリターンを失う可能性があります。


投資のメリット

・住宅ローン金利以上のリターンが期待できる
特に低金利ローンの場合、長期投資では金利差がプラスになりやすい。

・資産を流動的に保てる
いざという時に換金しやすい点は大きなメリットです。

・インフレ対策になる
現金や繰上返済よりも資産価値の維持が期待できます。

投資のデメリット

・元本割れのリスクがある
短期的には価格変動が避けられません。

・精神的な不安が大きい
借金を抱えながら投資を続けることに不安を感じる人も多い。

・知識や判断力が求められる
何も考えずに投資すると失敗しやすい。


住宅ローンについて考えるべきポイント

繰上返済か投資かを判断する際、FPが必ず確認するポイントは以下です。

①住宅ローン金利は何%か

②団体信用生命保険(団信)の内容

③生活防衛資金が確保できているか

④将来の大きな支出(教育費・介護費など)

⑤本人のリスク許容度(性格)

特に重要なのが「金利」と「手元資金」です。
生活防衛資金が不十分な状態で繰上返済を優先するのはFPとしてはリスクが高い判断といえます。


家庭別の判断

共働き・子どもなし世帯

・比較的リスク耐性が高い

・投資と繰上返済の併用が現実的

・若いうちは投資比率を高める選択も有効

子育て世帯

・教育費という不確定な支出が大きい

・手元資金を減らしすぎないことが重要

・繰上返済は「一部のみ」が基本

単身・独身世帯

・収入変動リスクが高い

・投資で資産を分散しておくメリットが大きい

・完済を急ぎすぎない判断も合理的

定年が近い世帯

・収入減少を見据える必要あり

・心理的安定を重視し、繰上返済優先も選択肢

・ただし一括返済は慎重に


住宅ローンを繰上返済して後悔した事例

FP相談で実際にあった事例です。

50代の会社員Aさんは退職金の一部を使って住宅ローンを一気に繰上返済しました。
「借金がなくなる安心感」を重視した判断でしたが、その数年後に病気による収入減少と医療費負担が重なります。

手元資金が少なかったため、

・生活費の補填に苦労

・本来は不要だった保険を追加加入

・老後資金の計画を大きく修正

結果としてAさんは、「全部返さず、半分は手元に残しておくべきだった」と振り返っています。


FPの結論

「繰上返済か投資か」ではなく「バランス」が最適解です。

FPとしての結論は以下の通りです。

・生活防衛資金がないなら、繰上返済はしない

・低金利ローンなら、投資を活用する余地は大きい

・精神的に不安が強い人は、少額の繰上返済で安心感を得る

・一括返済は原則おすすめしない

住宅ローンは単なる「借金」ではなく、人生設計とセットで考える金融商品です。
自分の家庭状況・価値観・将来設計に合った判断をすることが後悔しない最大のポイントです。


まとめ

住宅ローンの繰上返済と投資に「万人共通の正解」はありません。
だからこそ数字だけでなく、家計全体と人生設計を見て判断することが重要です。

もし

・自分の場合はどちらが正解かわからない

・繰上返済と投資の割合で迷っている

そんな時はFPに一度相談してみることで、後悔のない選択がしやすくなります。

2026/1/6