子供が社会人になってから「お金に困らない」ために親がしている5つのこと

子供が社会人になってから「お金に困らない」ために親がしている5つのこと

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

日本では他の先進国と比べて金融教育が遅れています。学校でも家庭でもほとんど金融について学ぶ機会がありません。

まだまだ「お金の話はタブー」という風潮が根強く残っています。

そのため、社会人になってから「お金の基本が身についていない」「給料が入っても使い方が分からない」と悩む若者が少なくありません。
では、「お金に困らない」ような社会人に育っている人たちの家庭では、どのような「親の関わり方」が行われているのでしょうか。

本コラムでは、金融リテラシーの高い家庭が実践している 5つの習慣 を解説します。

取り入れられるものがあれば1つでも良いので実践してみてください。


1.収入・支出・貯蓄の「見える化」を一緒に行っている

お金に困らない社会人になるための第一歩は、自分の家計をコントロールできる力を育てることです。

しかし、多くの若者は「給料」が何で構成されているかも知らないまま社会に出ます。

基本給、残業代、社会保険料、住民税など明細にはさまざまな項目が記載されています。

金融教育に熱心な家庭は、以下のようなことを子供と一緒に行っています。

・小学生から「お小遣い帳」を習慣化

・中学、高校で「予算を決めて使う」経験を積ませる

・大学生になったら実際の家計簿アプリを使わせる

お小遣いを「ただ渡す」のではなく
「なにに使ったのか振り返る」習慣を親が見てあげることが大切です。
支出には「必要な支出」「欲望からの支出」があることを理解すると、社会人になっても浪費しにくくなります。


2.「収入は自分で作り出すもの」という価値観を教えている

お金に困る社会人の特徴の一つが、収入源が「会社の給料だけ」になってしまうこと。

一方、金融リテラシーの高い家庭では「お金は働いて得るもの」という考え方だけでなく、

・自分のスキルを磨いて収入を増やす

・副業で複数の収入源を持つ

・資産運用で「お金を働かせて」資産収入を得る

といった「収入を自分で作る」発想を自然と子供の中に育てています。

例えば、以下のような体験を積ませる家庭が多いです。

・小中学生の時にフリマアプリで不用品を売らせる

・高校でアルバイト経験をさせる

・大学生で短期インターンやライター業をさせる

・社会人前に「副業=悪いことではない」と教える

「収入は会社に依存せず、自分でも作れる」という意識があれば、収入が1本しかないリスクを避けられ、お金に困りにくい大人へと育っていきます。


3.早いうちから「正しい金融商品の選び方」を学ばせている

社会人がお金に困る原因の多くは、
「金融商品の仕組みを理解せずに契約してしまうこと」
です。

・生命保険
・NISAで投資信託
・iDeCo
・住宅ローン
・カードローン

これらは正しく使えば有益ですが、理解不足のまま契約すると将来の負担が膨らむ可能性があります。

金融リテラシーの高い家庭では、子供が早いうちから以下のことを学びます。

・「複利」「手数料」の重要性

・「リスクとリターン」の関係

・「長期・分散・積立」が資産形成の基本

・保険は“万が一への備え”であり、貯蓄目的では使わない

特に投資については、
「投資=ギャンブル」という誤解を親が解いてあげることが重要です。
親世代が苦手な分野であっても、子供と一緒に学ぶ家庭の方が結果的にお金に困らない社会人へと育つ傾向があります。


4.「家計のリアル」を隠さず伝えている

日本の多くの家庭では、親が「お金の話をするのは恥ずかしい」「子供に心配させたくない」という理由で家計の実情を隠します。

しかし、お金に困らない大人になっている人の多くは、
家庭のリアルな家計事情を親から自然と学んで育っています。

例えば…

・家賃、光熱費、通信費がいくらか

・生活費と貯蓄のバランス

・教育費にどれだけかかっているか

・不要な支出はどう見直すのか

・家族の保険がどんな理由で加入されているのか

こうした情報を共有することで、子供は早くから「お金の流れ」を実感できます。

特に効果的なのは、
「なぜその支出をしているのか?」という「考え方」を説明すること。
親の価値観を知ることで、子供は自分の家計判断にも応用できるようになります。


5.「お金を使う目的」を一緒に考える習慣がある

お金に困らない人は、単に節約が上手いのではなく、
「お金の使い方に軸(価値観)がある」
という特徴があります。

金融教育が上手くいっている家庭では以下のような会話が多い傾向があります。

・お金を使う時の優先順位

・自分が大事にしたいこと

・将来の夢やキャリア

・必要な支出と浪費の違い

・「経験」にお金を使う重要性

例えば、旅行にお金をかける家庭では、
「なぜ旅行が価値のある支出なのか」を説明し、
ゲームに課金ばかりしてしまう場合は
「課金の価値は何か?」を一緒に考える習慣があります。

この「価値観の共通理解」こそ、社会人になってもブレないお金の使い方につながります。


【まとめ】お金に強い社会人は「家庭でつくられる」

社会に出てから金融知識を身につけることもできますが、
最も効果的なのは「家庭での小さな習慣」です。

今回紹介したポイントを改めてまとめると

①収入・支出・貯蓄を「見える化する力」を身につけさせる

②収入は「自分で作るもの」という価値観を育てる

③正しい金融商品の選び方を早くから学ばせる

④家計のリアルを隠さず伝える

⑤お金を使う価値観を一緒に考える習慣をつくる

特別な才能や専門知識は必要ありません。
親が少しだけ意識を変えるだけで、子供の「一生役立つお金の基礎体力」は確実に育ちます。

今からでも遅くありません。
ぜひ今日からご家庭に取り入れてみてください。

2025/12/10