定期預金よりも金利の高い初心者向けの安定した投資は?

定期預金よりも金利の高い初心者向けの安定した投資は?

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

「銀行の定期預金ではお金が増えない」
そんな声を多くの家庭で耳にします。

特に2020年代に入ってからは、物価上昇(インフレ)が続き、2%未満の金利では実質的にお金の価値が目減りしてしまう状況が続いています。

かつては「安全にお金が増える」象徴だった定期預金ですが、現在の経済環境では「お金を守る手段」としての力が弱くなっています。

では、初心者でも安全性を重視しながら定期預金よりも高い利回りを狙える投資はあるのでしょうか?

本コラムでは、リスクを抑えつつ資産を増やしていくための選択肢を4つ解説します。

 

 

1.初心者が「安定した投資」を選ぶ基準とは

まず前提として「安定した投資=元本割れしない」ではありません
完全にリスクゼロの金融商品は、この世に存在しません。

大切なのは「相場が崩れても大きく価値が減らない」という性質を持つ商品を選ぶことです。

安定した投資に共通する条件は次の4つです。

 

値動きが小さい(価格変動リスクが低い)

株式のように日々大きく値動きする商品はリスクが高く、定期預金の代替には向きません。

一方で債券や毎月の積み立てや分散投資する仕組みの商品は、値動きが比較的穏やかです。

世界的にも長年使われている信頼ある仕組みである

「歴史が長い投資=多くの投資家に支持され、リスクが可視化されている」
初心者にとって「仕組みがシンプルで理解しやすい」ことも重要です。

分散が効いていること

1つの国、1つの企業に依存しない。
複数の資産に分散して投資している商品は値動きの偏りを抑えます。

上記を満たす投資は、定期預金よりも高い利回りを期待しながらも心理的ストレスが小さく、長期運用に向いています。

④  信頼できる発行体・運営元であること

社債や保険商品などを選ぶ際には「発行元となる企業」の信用度が重要です。

倒産リスクを見極めることが安定運用の第一歩となります。

 

2.定期預金より金利が高く、初心者でも始めやすい投資

ここからは実際に初心者でも取り組みやすく、なおかつ安定性の高い投資を具体的に紹介します。

 

① 個人向け国債

個人向け国債は「国が発行する債券」で安定性はトップクラス。
特に人気が高いのが変動金利型(10年満期) です。

【特徴】

・元本保証(※途中売却時を除く)

・金利は半年ごとに見直し

・インフレが進むと金利も上昇しやすい

・1万円から購入可能

現在、日本の金利は上昇局面にあり国債の金利水準も定期預金より高くなっています。

国が破綻しない限りは元本が返済されるため、「最も安全性の高い投資」と言われています。

【初心者が選びやすい理由】

・価格の変動がない

・銀行でもネット証券でも買える

・定期預金の延長線で理解しやすい

 

② 社債(企業が発行する債券)

銀行預金や国債よりも高い利回りが期待できる「企業が発行する債券」

社債とは、企業が資金調達を目的に発行する債券のことで「企業にお金を貸し、その利息を受け取る」仕組みです。

【特徴】

・銀行預金より高い利回り

・利息が定期的に受け取れる

・満期時には元本と利息を受け取ることができる

・国債よりも倒産リスクは高いが、株式のように日々の価格変動リスクがない

日本企業が発行する社債は利回り1〜2%台が多く、定期預金よりはるかに高い収益を期待できます。

特に「優良企業の社債」は倒産リスクが低いため、初心者でも比較的安心して購入できます。

【初心者が選びやすい理由】

・仕組みがシンプルで理解しやすい

・株のような激しい値動きがない

・証券口座があれば購入できる

・目的別に短期から長期の社債を選べる

ただし、倒産リスクがゼロではないため、信用格付け(AAA〜BBBなど)や業績などをチェックすることが大切です。

 

③ 外国債券(ドル建て・豪ドル建てなど)

日本より金利が高い国に投資して収益を狙う方法。

外国債券とは、海外の国・企業が発行する債券のこと。

日本の金利が低い一方で、海外の金利は4〜6%台と高いケースが多く、利息収入による収益を期待しやすい投資です。

【特徴】

・日本より高い金利水準で運用できる

・国ごとに経済成長率・金利が異なり選択肢が豊富

・社債(国内)よりさらに高い利回りが狙えることも

・国際分散になるため「日本経済だけ」に依存しない

たとえば米国債は世界中の投資家に利用されており、信頼性が高い代表格です。

また、豪ドル債やユーロ債などの選択肢もある。

【注意点】

・為替リスクがある(円高になると損失の可能性)

・国の信用力が低い債券は避けるべき

ただし、長期で保有することで為替のブレはならされる傾向にあります。

短期売買ではなく5〜10年の長期運用を心掛けましょう。

 

④ 生命保険(貯蓄型保険)

保険と貯蓄が一体化した「守りながら増やす」商品

貯蓄型生命保険は、保障と貯蓄を兼ね備えた商品で、満期または解約時にお金が戻ってくる仕組みを持っています。代表的な商品には、終身保険(低解約返戻金型)、養老保険、個人年金保険などがあります。

【特徴】

・積立金が確実に貯まる

・返戻率が105〜120%程度の商品もある

・保障機能があるため、家族への備えも同時にできる

・契約時に返戻金の予定額が決まっている

特に昨今は海外の金利上昇に合わせて返戻率の高い外貨建て保険が人気です。

円建て商品より利回りが高く「資産形成+保険」の2つの目的を同時に達成できます。

【初心者が選びやすい理由】

・強制的に積み立てられるため、貯金が苦手でも続けられる

・元本割れしにくい商品が多い

・保障とセットなので心理的に安心

ただし、途中解約をすると元本割れする期間があるため「長期向け商品」であることを理解する必要があります。

 

 

3.定期預金より高い利回りを狙う際の注意点

どれだけ安全性が高い投資でも知っておくべき注意点があります。

① 目先の利回りだけで商品を選ばない

「年◯%」という数字はあくまで目安です。
金融商品は景気や金利環境で変動するため、長期で安定しているかが重要です。

② 過度なハイリターン商品には近づかない

「毎月分配」「年利8%以上」などはリスクが高い典型です。
初心者は避けるべきです。

③ 分散と長期運用を徹底する

どれほど安定している投資でも短期では価格が上下することがあります。
時間を味方につけることでリスクが自然と軽減されます。

短期での解約は手数料が発生することが多いので避けましょう。

④ 流動性(いつでも解約できるか)を必ず確認する

・社債 → 満期前に売却できるが価格変動がある

・外国債券 → 為替レートによって受取額が変わる

・生命保険 → 早期解約は元本割れリスク

流動性は投資選びにおいて非常に重要です。

 

 

4.【結論】定期預金ではお金は増えにくい時代。次の一歩を

「リスクは怖い」。
誰もが感じる不安です。

しかし、現代のインフレ環境では 「預金しかしていない=実質的にインフレで損をしている」 という現実があります。
そのため、初心者向けで安定性の高い投資としては、

 

・個人向け国債(変動10年)

・社債

・外国債券

・生命保険

 

といった選択肢が定期預金より高い利回りを期待できる現実的な「第一歩」となるでしょう。

投資の本質は「大きく増やす」ではなく、
お金の価値が目減りしないよう守りながら育てること。

初心者こそ、まずは小さく始めて長く続けることが大切です。
この積み重ねが、のちに大きな資産形成へとつながります。

国債・社債・外国債券・生命保険(貯蓄型) は比較的理解しやすく、初心者でも「守りながら増やす」ことができる代表的な手段です。

2025/12/12