家計簿をつけてもお金が貯まらない理由と改善策【FP大阪】

家計簿をつけてもお金が貯まらない理由と改善策【FP大阪】

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

「毎月きちんと家計簿をつけているのに、なぜかお金が貯まらない」
これはFP相談の現場で非常によく聞く悩みの一つです。

「家計簿=貯金ができる」というイメージを持っている方は多いですが、実は家計簿をつけること自体が目的になってしまうと、お金は貯まりません。
この記事では家計簿が機能しない理由と、FP視点での正しい家計管理の考え方、そして改善ステップまでを分かりやすく解説します。


家計簿が続かない原因

家計簿が続かない人には、いくつか共通した原因があります。

まず多いのが「完璧にやろうとしすぎる」ことです。
レシートを1円単位で入力し、費目も細かく分け、少しでも抜けると嫌になってしまう。

この完璧主義が、家計簿挫折の最大の原因です。

次に、入力作業が面倒という問題。
仕事や家事で忙しい中、毎日家計簿アプリを開くこと自体が負担になり、気づけば数週間分まとめて入力、最終的には放置…というケースも少なくありません。

さらに家計簿をつける目的が曖昧なことも大きな要因です。
「なんとなく始めた」「周りがやっているから」という理由では続かなくて当然です。


お金が貯まらない人の共通点

家計簿をつけていても貯まらない人には、明確な共通点があります。

1つ目は、家計簿が「記録」で終わっていることです。
支出を書くだけで「なぜ使ったのか」「減らせるのか」を振り返っていないケースです。

2つ目は、固定費を見直していないこと。
通信費、保険料、サブスク、住宅費などの固定費は、家計に与える影響が大きいにもかかわらず、手を付けずに変動費(食費や交際費)ばかり気にしてしまいます。

3つ目は、「余ったら貯金」という発想
収入−支出=貯金、という考え方では、いつまで経ってもお金は貯まりません。


FP流・家計管理の考え方

FPの視点では、家計管理の基本はとてもシンプルです。

それは、
「貯金(投資)を先に確保し、残りで生活する」
という考え方です。

家計簿は「節約ツール」ではなく、お金の流れを可視化するためのツールです
目的は「お金を減らさないこと」ではなく、「お金をどう使えば将来が良くなるか」を判断することにあります。

また、家計簿を月1回見るだけということも珍しくありません。
重要なのは日々の細かい支出よりも、
・固定費
・貯蓄率
・将来必要なお金とのギャップ
を把握することです。


改善のステップ

家計簿を「お金の貯まる仕組み」に変えるためのステップは、以下の通りです。

ステップ1:目的を明確にする
・老後資金を貯めたい
・3年後に住宅購入をしたい
・教育費を準備したい
目的が決まると、家計簿の見方が変わります。

ステップ2:固定費から見直す
家計改善の8割は固定費で決まります。
保険、通信費、サブスク、住宅費を優先的にチェックしましょう。

ステップ3:先取り貯蓄を設定する
給料が入ったら、最初に貯蓄・投資へ回す。
「残ったら貯金」はやめることが重要です。

ステップ4:家計簿はシンプルに
費用の項目は大まかでOKです。
完璧を目指さず、「続けられる形」を最優先にしましょう。


一人で難しい場合には?

家計管理がうまくいかない理由は、人それぞれ異なります。

・収入が不安定
・家族構成が複雑
・将来のお金が漠然と不安
・投資も考えたいが不安がある

こうしたケースでは、一人で悩み続けるより、FPに相談する方が圧倒的に早く改善できます。

第三者の視点で家計を整理することで、
「実は問題ではなかった支出」
「見直すべき本当のポイント」
が明確になります。

家計簿をつけても貯まらないと感じているなら、それはあなたの努力不足ではありません。
やり方が合っていないだけです。

一度立ち止まって、家計管理の考え方そのものを見直してみてはいかがでしょうか。

【家計管理チェックリスト】

① 現状把握ができているか

  • □ 毎月の手取り収入額を正確に把握している

  • □ ボーナスを含めた年間収入を把握している

  • □ 貯蓄額(預金・投資)の合計がすぐに言える

  • □ 住宅ローン・カードローンなどの借入残高を把握している

👉 まずは「いくら入ってきて、いくら持っているか」を明確に


② 固定費を把握しているか(最重要)

  • □ 家賃・住宅ローンの月額を把握している

  • □ 通信費(スマホ・ネット)を合算して把握している

  • □ 保険料の月額・内容を説明できる

  • □ サブスク(動画・音楽・アプリ等)を全て把握している

  • □ 毎月自動で引き落とされる支出を書き出せている

👉 家計改善の8割は固定費で決まる


③ 変動費をざっくり把握しているか

  • □ 食費の月平均額を把握している

  • □ 外食・交際費の月平均額を把握している

  • □ 日用品・雑費を月単位で見ている

  • □ 「何に使ったか分からないお金」が月いくらあるか意識している

👉 細かすぎる管理は不要。まずは「月単位」でOK


④ 貯蓄の仕組みができているか

  • □ 「余ったら貯金」になっていない

  • □ 給与天引き・自動積立を設定している

  • □ 毎月の貯蓄額を決めている

  • □ 貯蓄と投資を分けて考えている

👉 貯まる人は「先に確保」、貯まらない人は「後回し」


⑤ 目的のあるお金管理ができているか

  • □ 老後資金について考えたことがある

  • □ 教育費・住宅購入など将来の予定を把握している

  • □ 「いつ・いくら必要か」をざっくりでも考えている

  • □ 目的別にお金を分けて考えている

👉 目的がないと、家計簿は続かない


⑥ 家計簿の使い方が合っているか

  • □ 家計簿を「完璧に付けよう」としていない

  • □ 毎日入力しないと不安になっていない

  • □ 家計簿を見返す時間を作っている

  • □ 記録だけで終わっていない

👉 家計簿は「反省」ではなく「判断材料」


⑦ 一人で抱え込んでいないか

  • □ 家計やお金の話を誰にも相談していない

  • □ ネット情報だけで判断している

  • □ 「これで合っているのか分からない」と感じている

  • □ 将来のお金に漠然とした不安がある

👉 不安がある時点で、第三者の視点は価値がある


チェック結果の目安

  • ✅ 20個中15個以上 → 基本はできている〇

  • ⚠️ 10〜14個 → 改善余地あり

  • ❌ 9個以下 → 家計の仕組みを見直すタイミング

2025/12/24