富裕層だから実践できる資産運用と、お金持ちが選択しない投資について

富裕層だから実践できる資産運用と、お金持ちが選択しない投資について

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

「富裕層はどんな資産運用をしているのか?」
この疑問は、一般投資家や準富裕層から非常に検索ニーズが高いテーマです。

結論から言えば、富裕層の資産運用は「利回り重視」ではありません。
彼らが重視しているのは、
資産を減らさない構造・情報の非公開性・長期的な資産承継です。

本記事では、
一般投資家にはアクセスが難しく、富裕層だからこそ実践できる資産運用の具体例を、
分かりやすく解説します。


富裕層の資産運用が一般投資家と決定的に違う理由

まず前提として、富裕層(金融資産3億円以上)と一般投資家では、
投資の前提条件そのものが異なります。

項目 一般投資家 富裕層
投資目的 増やす 守る・残す
情報源 公開情報 非公開・紹介制
投資期間 中短期 10〜30年
税務 後付け 設計段階で組み込む
判断軸 利回り 構造・再現性

この違いが、選択する投資手法の差につながります。


プライベートエクイティ(PE投資)

プライベートエクイティ(PE)とは、未上場企業に直接投資し、企業価値を高めたうえで売却(EXIT)する投資です。

なぜ富裕層向けなのか

・最低投資額:数千万円〜

・投資期間:5〜10年(途中解約不可)

・案件情報は紹介制・非公開

特徴

・市場価格に左右されにくい

・経営改善によるリターン創出

・年率10〜20%を狙う設計が多い

一般投資家が触れない最大の理由は、情報と資金量の壁です。


ヘッジファンド(機関投資家向け戦略)

株式・債券・為替・商品などを使い、相場環境に関係なく絶対収益を追求する運用。

富裕層が使う理由

・株式市場との相関が低い

・下落局面での防御力

・分散効果が高い

参入障壁

・最低投資額:1,000万円〜

・実績は限定開示

・原則、紹介制

「相場が上がるか下がるか」ではなく、
どう生き残るかを考える富裕層向け運用です。


ベンチャーキャピタル(VC投資)

スタートアップ企業への投資。
成功時のリターンは非常に大きい一方、失敗確率も高い投資です。

富裕層が取り組める理由

・投資対象を分散できる資金力

・長期ロック(7〜10年)を許容

・起業家・VCネットワークへのアクセス

ポイント

・10社投資して1社当たれば成功

・資産の一部(5〜10%)で行う

生活資金に影響しない余剰資産がある人のみが選択できます。


直接不動産投資(高額・海外含む)

投資信託のREITではなく、不動産そのものを直接保有する投資。
国内一等地や海外の富裕層向け物件が中心です。

富裕層向けポイント

・1物件 数億〜数十億円

・法人・資産管理会社で保有

・相続・税務と一体設計

特徴

・インフレ耐性

・安定したキャッシュフロー

・資産承継に強い

「増やす」より「残す」ための代表的な運用です。


プライベートデット(非公開融資)

銀行が融資しない案件に、富裕層マネーが直接貸し付ける投資

特徴

・年利7〜12%程度

・担保付き案件が多い

・株式市場と非連動

注意点

・案件精査能力が必須

・デフォルトリスクあり

インカム重視の富裕層が選ぶ運用です。


アート・ワイン・クラシックカー投資

希少性と文化的価値を軸にした実物資産投資

富裕層ならではの使い方

・資産の5〜10%以内

・分散+趣味+象徴的意味

・相続・節税との組み合わせ

流動性が低いため、一般投資家には不向きです。


富裕層の資産運用の本質

富裕層が実践しているのは、
特別な商品ではなく、特別な設計思想です。

・利回りより「仕組み」

・短期より「長期」

・公開情報より「非公開ネットワーク」

一般投資家が真似すべきなのは、
商品ではなく考え方そのものと言えるでしょう。


富裕層が選択しない一般向けの投資とは?

― お金持ちほど「選ばない投資」には明確な理由がある ―

「富裕層はどんな投資をしているのか?」というテーマはよく語られますが、
実はそれ以上に重要なのが「富裕層が取り組まない投資」です。

なぜなら、
富裕層は増やすことよりも、減らさないこと・壊さないことを最優先するからです。


① 高コストなアクティブ投資信託

・信託報酬が年1〜2%以上と手数料が高い

・長期で市場平均を上回る確率が低い

・運用者交代など再現性がない

富裕層の考え方

・コストは確定損失

・リターンは不確定

・不利な構造の投資は最初から排除


② 毎月分配型ファンド

・分配金の多くは元本の取り崩し

・複利効果を自ら放棄

・税金効率が極めて悪い

富裕層の本音

「現金が必要なら、自分で売却すればいい
インカムは商品任せにしない、という発想です。


③ 投資目的の保険商品

・手数料構造が不透明

・流動性が極端に低い

・投資としての効率が悪い

富裕層の原則

・保険=保障

相続対策としての限定的利用は別ですが、
「増やす目的」で使うことはほぼありません。


④ SNS・ランキング起点の投資

・情報がすでに価格に織り込み済み

・群集心理に巻き込まれる

・情報の最下流での意思決定

富裕層の情報源

・クローズドネットワーク

・専門家・経営者からの直接情報
「表に出た時点で遅い」という感覚です。


⑤ レバレッジ前提の商品

・下落時の破壊力が大きすぎる

・一度の失敗で資産設計が崩れる

富裕層の共通認識

資産形成は「勝負」ではなくサバイバル
一発逆転を狙う必要がありません。


⑥ 元本保証風の高利回り商品

・「保証」と「高利回り」は同時に成立しない

・リスクの所在が不明確

富裕層の判断基準

「誰が、どのリスクを取っているのか説明できない投資はやらない」


⑦ 節税だけを目的にした投資

・節税額より損失が大きくなりがち

・キャッシュフローを悪化させる

富裕層の考え方

利益が出た結果として節税がある
節税は目的ではなく、副産物です。


富裕層が「やらない投資」に共通する特徴

・構造的に投資家にとって不利

・再現性がない

・感情を刺激する

・流動性が低い

・短期思考を前提としている

これらは、資産を壊す要因になりやすい投資です。


富裕層は「やらない投資」を先に決めている

富裕層の資産運用は、
「何をやるか」よりも
「何をやらないか」から始まります。

・利回りより構造

・商品より人生設計

・増やすより守る

一般投資家がまず学ぶべきなのは、
富裕層の投資手法ではなく、投資判断の基準です。

2026/1/29