こんにちは。
女性の経済的自立を応援するファイナンシャルプランナー山原です。
前回のコラム「源泉徴収票をチェックしていますか」で、知らない間に損をしないよう間違いがないか自分で最終チェックできるようになっておきましょうとお伝えしました。
源泉徴収票には年末調整であなたが会社に提出した情報がそのまま反映されているのですが、「合っているのか分からない」「そもそもの見方が分からない」という方もいらっしゃるでしょう。
本日はそのような方のために、源泉徴収票にどのような項目が記載されているのかを解説します。
税金の過不足を精算する年末調整は一年間の給料や賞与が確定した後で行うため、源泉徴収票は12月の給与明細と一緒に交付している企業が多いようです。今年最後の給与明細をもらったら源泉徴収票が同封されているか確認しましょう。
■給与所得の源泉徴収票(上段)
参考:国税庁「給与所得の源泉徴収票」
①基本情報
支払いを受ける者(あなた)の住所や名前が記載されます。
マイナンバーは個人情報保護のため記載されていません。
(自分の番号なのに?)と不思議に思われるかもしれませんが、源泉徴収票は所得証明などで外部に提出する可能性もあるので漏えい防止のためです。
②種別と支払金額
支払金額とはその年に会社があなたに支払った給与・賞与の総額です。各種手当なども含まれているので、副業などをしていない場合、あなたの「年収」となります。
支払金額には通勤手当などの非課税分は含まれていませんが、「年収」をベースに何かを計算する際、多くの場合は非課税分の交通費を含まない金額を「年収」としています。
種別は、会社が給与だけ払っているのであれば「給与」と記載され、賞与も払っている場合は「給与・賞与」と記載されます。
③給与所得控除後の金額
この欄には、給与所得控除が適用された後の金額が記載されます。給与所得控除とは、給与総額に対して差し引ける控除です。
個人事業主が税金の計算をするとき、収入から必要経費(事務用品費や通信費など)を引くことができますが、会社員は仕事のために購入したスーツやバッグの費用を経費として個々には認められないですよね。
(わたしだって仕事に必要なものを給料の中から負担してるのに不公平じゃ・・・)
ということで、あなたが実際にどれくらい費用を使ったかは関係なく「必要経費相当額」として会社が支払った給与や賞与の額をもとに計算した金額を給与収入から引いているのが「給与所得控除額」です。
ただ、個人事業主も「業務上必要」「仕事専用」であることをハッキリと説明できない場合は経費として認められないケースが多々あります。
以前聞いた話では、ハイヒールモモコさんが自前のシャネルスーツを「衣装だから経費で落としたい」と税理士さんに相談したところ仕事専用か分からないという理由で却下されたそうです。
「今くるよさんの衣装は経費で認められてるのにおかしい!」と食い下がったところ
「じゃぁ、今くるよさんの衣装を着て街を歩けますか?」と言われて納得したということでした。
不公平感がない良い話ですね(笑)
ステージ衣装 イメージ図
給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて次のようになります。
上記の計算式で計算された給与所得控除額を支払金額から差し引いた金額が「給与所得控除後の金額」として記載されます。
ここでご自身の源泉徴収票を見ながら電卓を叩いてみた方の中には、微妙な誤差が出た方がいらっしゃると思います。
税率をかける前に1,000円未満を切り捨てるルールや、年収660万円未満の方は年末調整用の速算表を使うことになっていることが原因です。
誤差なく1円単位で正確に計算したい方は、国税庁「給与所得控除」ページの下の方にある給与収入から所得を自動で計算してくれるサービスをぜひご利用ください。
自動計算サービスはこちら ▶ No.1410 給与所得控除|国税庁
④所得控除の合計額
所得控除の合計額は給与所得から引くことができる所得控除額を合計したものです。
所得控除は全部で15種類、大きく分けて「人的控除」と「物的控除」の2つがあります。
ただし、「医療費控除」「雑損控除」「寄付金控除」は自分で申告して受ける控除のため、年末調整では精算できません。
⑤源泉徴収税額
この欄に書かれた金額が年間の給与や所得控除を集計した上で最終的に計算された所得税です。
年末調整後に再計算した額なので、毎月の給与明細に記載された所得税欄を合計しても一致しません。
給与所得者の場合、毎月の給与から社会保険料や前年の扶養控除等申告書の情報を考慮した概算の所得税があらかじめ天引きされています。
年末調整で生命保険料控除など各種控除を申請して正確な所得税を算出すると、概算の所得税よりも少なくなるケースが多いため、ほとんどの方は還付金を受け取ることになります。
ただし、還付金の額は源泉徴収票に記載されていませんので、還付金があるかどうかは12月分(または1月分)の給与明細で確認します。
⑥所得控除(人的控除)の金額や人数
配偶者や扶養家族の有無など、人に関するあなたの「個人的な事情が考慮される」控除です。
⑦所得控除(物的控除)の金額
生命保険や社会保険といった、あなたがその年に「支払った金額に応じて」控除額が決まる控除です。
⑧住宅借入金等特別控除の額
いわゆる住宅ローン控除です。
こちらは「税額控除」で最終的に計算された所得税から直接引くことができます。
さぁ、ここまで分かれば全貌把握までもう一息です!
次回は「年末調整でできる所得控除」について解説します。