良い投資信託の選び方は「自分に合った投信選び」~大阪FP解説~

良い投資信託の選び方は「自分に合った投信選び」~大阪FP解説~

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

良い投資信託の選び方は、「目的に合った商品を選ぶこと」が最も大切です。

以下のポイントを押さえると、自分に合った投資信託を見つけやすくなります。

投資信託の選び方(方法)について

 

①投資目的・期間を明確にする

何のための投資か?

例)老後資金(長期)、教育資金(中期)、旅行資金(短期)

運用期間はどれくらいか?

長期なら株式型、短期なら債券型やバランス型も検討

 

②コスト(手数料)を確認する

信託報酬(運用管理費用)

年0.5%以下が理想(インデックス型は低コストが多い)

購入時手数料・信託財産留保額(解約手数料)

最近は「ノーロード(購入手数料無料)」の商品も多い

 

③運用方針を確認する

インデックス型 or アクティブ型

インデックス型:低コストで市場平均に連動

アクティブ型:高コストだが市場平均を上回る運用を目指す

 

④過去の運用成績を確認する(参考程度に)

直近1年だけでなく、3年・5年のリターンもチェック

ただし「過去の成績は未来を保証しない」点に注意

 

⑤運用資産の中身を確認する

どんな地域・業種・資産に投資しているか?

投資対象が分かりやすい商品が初心者には安心

 

⑥純資産総額を見る

100億円以上が目安

規模が小さいと償還(終了)リスクがある

 

⑦分配金の方針を確認する

分配金が多い=良いとは限らない

長期投資なら「再投資型(無分配)」の方が複利効果が得られる

 

投資信託の情報をどこで見るか?

信頼できるサイト・証券会社で比較しましょう

モーニングスター(評価サイト)

証券会社(SBI証券、楽天証券など)

金融庁「つみたてNISA対象商品一覧」

 

【初心者におすすめの投資信託】

  • eMAXIS Slim シリーズ(低コストのインデックス型)
  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)
  • SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

 

「分配金が多い=良いとは限らない」というのは、分配金の多さだけで投資信託を選ぶのは危険という意味です。以下で詳しく解説します。

【分配金とは?】

投資信託が運用して得た利益(配当・利子・値上がり益など)を、投資家に現金で分配するものです。毎月分配型や年1回型などがあります。

 

【なぜ「分配金が多い=良い」とは限らないのか?】

①元本を取り崩している場合がある

分配金の財源が運用益だけでなく元本から出ている(特別分配金)ことがあります。

これは「資産を取り崩してお金を配っている」だけなので、実質的な利益ではありません

長期で見れば資産が減っていく可能性があるので注意。

 

②複利効果が得られない

分配金を受け取ると、その分運用資産が減る

一方、再投資型(無分配)なら利益が再び運用に回るため、複利効果が得られる。

複利効果があるため、長期投資では「分配金を受け取らない方が資産が増える」

 

③税金がかかる

分配金を受け取るたびに源泉分離課税(約20%)がかかります。

分配金をもらっても、その一部は税金で減ってしまう。

 

④運用効率が落ちる

分配金を出すたびに運用資産が減るため、運用効率が低下する。

長期で安定した成長が見込めない商品もある。

 

どんな人に向いている?

高齢者や年金の足しにしたい人:毎月分配型が生活費の補填に便利

資産を増やしたい若年層・働き盛りの人:無分配・再投資型の方が効率的

分配金の特徴 メリット デメリット
分配金が多い 現金収入が定期的に得られる 資産が減る、税金がかかる、複利が効かない
分配金がない(再投資) 資産成長が期待できる、非課税制度(NISA等)で有利 現金収入はなし

 

投資信託を選ぶポイントは

「たくさん分配金がもらえるから良さそう」ではなく、
「資産が増えやすい仕組みかどうか」で判断するのがポイントです。

 

長期なら株式型、短期なら債券型やバランス型も検討」とされる理由は、リスクとリターンの性質と、時間によるリスクの緩和効果に関係しています。

以下でわかりやすく解説します。

 

①株式型は長期向きの理由

高リターンだが価格変動(リスク)も大きい

株式は企業の成長に投資するため、長期的には高いリターンが期待できます。

ただし、短期的には価格の上下が激しい(=ボラティリティが高い)。

時間がリスクを吸収してくれる

長期間投資を続ければ、一時的な下落を取り戻すチャンスが多くなる

過去のデータでも、投資期間が10年以上になると、株式投資の損失リスクは大幅に下がる

 

投資期間 株式(インデックス)での損失確率
1年 高い(下落リスクあり)
5年 徐々に低下
10年以上 非常に低い(歴史的にはほぼプラス)

 

②債券型やバランス型は短期向きの理由

債券型:値動きが小さく、安定的

国債や社債などは株式に比べて価格の上下が小さい

そのため、短期的にお金を使う予定がある人向け(資金を守る目的)。

バランス型:複数資産に分散してリスクを抑える

株式・債券・リートなどを組み合わせているため、1つの資産の急落に強い

中短期でも安定した運用がしやすい。

 

【目的に合わせた例】

投資目的 期間 向いている投資信託
老後資金 10年以上 株式型(インデックス型など)
子供の学費(中高) 3〜10年 バランス型または債券型
数年以内の出費 1〜3年 債券型や定期預金に近い商品

 

【つみたてNISAやiDeCoは長期前提】

これらの制度を使う場合、株式型(インデックス型)を中心に組むのが合理的です。

利益に対して税金がかからないのでリターンの狙える株式型で長期の非課税メリットを活かしましょう。

 

【まとめ】

長期投資なら「高リスク高リターン」の株式型で成長を狙う

短期・中期なら「低リスク低リターン」の債券型やバランス型で安全運用

 

インデックス型とアクティブ型、どちらが「良いか」は、投資の目的や考え方によって異なりますが、以下のような特徴があります。

まずはそれぞれの違いを整理し、その上で「どちらがどんな人に向いているか」を解説します。

 

【インデックス型とは】

特徴として、日経平均やS&P500など、市場の平均値(指数)と同じ動きを目指す運用です

ファンドマネージャーは銘柄選びをせず、指数に連動した資産を機械的に保有しています。

そのため手数料(信託報酬)が非常に安いです(例:年0.1〜0.3%程度)

 

メリットとして、長期的に市場平均並みのリターンが期待できます。

コストが低い=運用効率が良いです。

多くの事例からもアクティブ型より高いパフォーマンスを出すケースが多いです。

 

デメリットは、平均のリターンしか得られないことです(市場を「超える」ことはない)。

そのため、インデックス型は面白みに欠けると感じる人もいます。

 

 

【アクティブ型とは】

特徴として、銘柄選びやタイミングの判断で、市場平均を上回る成果を目指す運用です

ファンドマネージャーによって経済分析や独自戦略に基づいて積極的に運用されるため、手数料は高めです(年1.0〜2.0%も多い)

 

メリットは当たれば大きなリターンが得られる可能性があるということです。

市場が低迷する局面でも柔軟な対応が可能なファンドもありますが、多数のファンドは成績が振るわないでしょう。

優れたファンドを見つけるためにも目論見書をしっかりと確認しましょう。

 

デメリットは多くのアクティブファンドが、長期的には市場平均に勝てないということです。

コストが高いため、実質的な利益が圧迫されやすいのが要因の1つです。

 

結論:どちらがあなたに向いているか

タイプ 向いている人
インデックス型 長期的に着実に資産を増やしたい
運用コストを抑えたい
投資にあまり時間をかけたくない
アクティブ型 市場平均以上を狙いたい
特定のテーマ・分野(AI、環境など)に賭けたい
ファンドマネージャーの手腕に期待したい

 

【おすすめ投信の選び方(初心者〜中級者向け)】

基本は「インデックス型をメインにして、アクティブ型をスパイス程度に」がバランスの取れた組み合わせです。

例えば、資産の80%はインデックス、20%だけアクティブ(テーマ型など)としておけば、市場が急変した時にも慌てずに済みます。

 

また、投資信託選びで役に立つ指標にシャープレシオ(Sharpe Ratio)があります。これは投資の「リターン効率」を測る指標です。つまり、「リスクをどれだけ取って、どれだけ利益を上げているか」を評価します。

 

【シャープレシオとは】

定義(数式)

シャープレシオ=(投資のリターン−無リスク金利)÷リターン標準偏差(リスク)

投資のリターン:ファンドなどの平均収益率

無リスク金利:銀行預金など、元本が保証される投資の利回り(例:国債利回り)

リスク:リターンのブレ(標準偏差)

 

簡潔に言うと、

高リターンでもブレ(リスク)が大きければ、シャープレシオは低い

低リターンでもブレが小さければ、シャープレシオは高くなる

「効率的に稼げているか」を測る指標

 

【シャープレシオはどんな時に使うのか?】

複数の投資信託やファンドを比較するときに使います。

単純な利回りだけでなく、リスクを考慮した「優秀さ」を知ることができるのが特徴です。

 

目安(あくまで参考に)

シャープレシオ 評価
1.0以上 優秀
0.5〜1.0 まずまず(普通)
0.5未満 効率が悪い(注意)

 

例で理解(イメージ)する

ファンドA:年利5% / リスク2% → シャープレシオ = 2.0
ファンドB:年利8% / リスク8% → シャープレシオ = 1.0
ファンドC:年利10% / リスク15% → シャープレシオ = 0.67

→ 利回りだけ見るとCが魅力的に見えるが、リスクを取った割には効率が悪いことがわかります。

 

【投資初心者にとってのポイント】

「高リターン=良い」ではなく、「効率よく稼げているか」で判断するクセをつける

投資信託を選ぶ際、シャープレシオが高い商品は「安定した運用成績」とされるので、目安として役立ちます

 

 

【シャープレシオを活用した投信の選び方】

  • 同分類(国内株や外国株、債券など)でシャープレシオを比較する。
  • 1年未満の短期間ではなく3年・5年の長期指標が見られるものを選ぶほうが信頼性あり
  • 「効率性」だけでなく、自分のリスク許容度や運用方針に合っているかも考慮。
  • アクティブ型とインデックス型を比べてトータルの効率・手数料・規模などを比較検討する。

アクティブ型でもインデックス型よりリスクの低いファンドもあります。

 

 

投資にはリスクがつきものです。

無理のない範囲で取り組みましょう。

弊社ではいかなる理由においても、お客様の被った損失に関知しません。

投資は自己責任でお願いします。

2025/7/17