NISAでの投資は本当に安全?暴落時に備える方法【大阪FP】

NISAでの投資は本当に安全?暴落時に備える方法【大阪FP】

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

「NISAは国が用意した制度だから安全」「長期投資なら必ず増える」
こうした言葉を信じて投資を始めたものの、相場が下落した瞬間に不安を感じた経験はないでしょうか。

確かにNISAは「税制面で有利な制度」ですが、投資そのものが安全になるわけではありません

本コラムでは、NISA投資に潜む誤解と、暴落時に備えるための具体的な考え方をFPの視点から解説します。


NISA投資=安全という誤解

まず押さえておきたいのは、NISAは「商品」ではなく「制度」だという点です。
NISAを使って投資する対象は投資信託や株式であり、元本保証はなくリスクの高い投資です。

「非課税=ノーリスク」と誤解されがちですが、
・価格変動リスク
・為替リスク
・市場全体の下落リスク

これらはNISA口座であっても通常の課税口座と変わらず存在します。

特にNISAの普及により、「とりあえずNISAで投資しておけば安心」という空気が広がっています。

しかし、制度への理解が浅いまま投資をすると相場が下落した際に大きな不安を抱えることになります。


暴落時にやってはいけない行動

相場が急落したとき、多くの投資初心者がしてしまうNG行動があります。

代表的なのは、感情的な売却です。
含み損が出ると、「これ以上下がったらどうしよう」という恐怖から冷静な判断ができなくなります。

その結果、底値付近で売却してしまい、相場回復時の恩恵を受けられなくなります。

また、
・SNSやニュースを見すぎる
・短期の値動きに一喜一憂する
・損失を取り戻そうとして投資額を増やす

といった行動も暴落時には避けるべきです。

暴落は一時的な現象であることが多く行動しないことが最善策になる場合も少なくありません。


FPが考える暴落時に備える方法

暴落時に慌てないためには事前の備えがすべてです。

FPとして特に重視しているポイントは以下の3つです。

1つ目は、「余裕資金で投資をすること」。
生活費や近い将来使う予定のお金を投資に回していると下落時に冷静でいられません。

2つ目は、「資産配分を意識すること」。
株式100%のポートフォリオは上昇局面では魅力的ですが、下落時のダメージも大きくなります。

複数の資産に分散することで心理的負担を軽減できます。

3つ目は、「想定シナリオを事前に決めておくこと」。
○%下落したらどうするか、何もしないのか、積立を継続するのか。

これを決めておくだけで、暴落時の行動は大きく変わります。


メンタルが崩れる原因

投資でメンタルが崩れる最大の原因は、「期待値のズレ」です。

多くの人は、
・資料では直近の値段が上がっている=ずっと右肩上がり
・積立投資=下がらない
・NISA=安心

というイメージを無意識に持っています。

しかし実際の相場は上がったり下がったりを繰り返します。

この現実を知らないまま投資を始めると、下落時に「話が違う」「こんなはずじゃなかった」
という感情が生まれてメンタルが大きく揺さぶられます。

知識不足、想定不足が不安を生み出しているケースがほとんどです。


不安になった時の対処法

不安を感じたときに最も大切なのは「投資をやめるかどうか」ではなく、「投資の前提を見直すこと」です。

まずは、
・なぜ投資を始めたのか
・いつまでに、何のために運用しているのか

を再確認してください。

目的が長期であれば短期的な下落は「通過点」にすぎません。

また、情報を一時的に遮断することも有効です。

相場を毎日確認する必要はありません。

積立投資であれば何もしない勇気が結果を左右します。

それでも不安が強い場合は、第三者に相談することをおすすめします。

自分一人で抱え込まず、FPなどの専門家に客観的な視点をもらうことで冷静さを取り戻せることが多くあります。


まとめ

NISAは非常に優れた制度ですが「安全な投資」を保証するものではありません。
重要なのは制度を正しく理解し、暴落を前提にした投資設計を行うことです。

不安をゼロにすることはできませんが備えることはできます
NISAを安心して活用するためにも「暴落時にどうするか」を今のうちに考えておくことが長期投資成功のカギになります。

2025/12/19