こんにちは。
女性の経済的自立を応援するファイナンシャルプランナー山原です。
本日は「源泉徴収票をチェックしていますか」をお送りいたします。
私は年に数回、大学などでビジネス系の検定講座を担当しているのですが、学生から毎回「難しい!」と声があがるのが「源泉徴収」「年末調整」「確定申告」「所得控除」など税金に関する用語知識です。
「学生のうちに税金の知識を身につけておかないと社会人になったときに困るぞー」
と𠮟咤激励していますが、立派な社会人でも
- 源泉徴収票をなんのためにもらっているのか分からない
- 内容をちゃんと見たことがない
という方は意外と多いのではないでしょうか。
■用語解説「源泉徴収」 「確定申告」 「年末調整」 「所得控除」
簡単に用語解説すると、「源泉徴収」は会社が従業員に支払う給与から税金を差し引いて、社員の代わりに納税する制度です。
「源泉徴収票」とは、1年間の「給与収入」「納付した所得税額」「所得控除額」などが記載された書類のことで、会社が税務署に報告するため発行され、従業員にも「年末調整」の結果として交付されます。
所得税は毎月の給与や賞与から天引きされていますが、その額はあくまで概算です。
そこで、会社は1年間の支払金額が確定する年末に社員個々の事情に応じた「所得控除」を行ったうえで税金の過不足を計算し、還付や追加徴収を(多くの場合12月の給与で)精算します。これが「年末調整」です。
また、個人事業主の場合は納める税金額を自分自身で計算しますが、計算して報告することや計算した所得税を納付するまで一連の手続きを「確定申告」といいます。
会社員であっても医療費控除や寄付控除などがある人、副業所得が20万円を超える人などは、自身で確定申告をする必要があり、確定申告書の作成時には「源泉徴収票」が必須です。
いずれにしても大切な書類なので紛失しないよう保管しておきましょう。
■源泉徴収票から手取り年収が分かります
源泉徴収票があれば手取り年収が計算できるため、所得証明として利用することもあります。
住宅ローンなどの申込時に金融機関は源泉徴収票を融資の可否を判断するひとつの手掛かりとしています。
●手取り年収の計算例
①支払金額 – ②源泉徴収額 – ③社会保険料等金額 – ④住民税×12ヵ月
※①②③は源泉徴収票に記載がありますが④は給与明細または住民税通知書で確認できます。
これまで毎年1年分の給与明細を引っ張り出して足したり引いたり面倒な計算をしていた方は、こちらの計算方法をお試しください。
簡単なのはもちろん、自分がどれだけ税金を払っているのか、どれだけ社会保険料を納めているのか正確な金額で認識できる機会になります。これは手取り年収を知ることより大事なことかもしれません。
(高すぎる!!)
と悲鳴をあげたくなることもあれば、
わたしって世の中に必要かな・・・と理由もなく急にテンションが下がりかけたとき、自分の納めている税金や保険料を再確認して
(わたしが働くことで間接的に人の役に立ってるやん!!)
と生きるモチベーションになることもあります。
わたしだけかもですが。笑
ちなみに源泉徴収票の支払金額に交通手当は含まれていません。
基本的に通勤手当に所得税は課税されないので、源泉徴収もされないためです。
(※ただし、すべての交通費が非課税となるわけではなく交通手段によって非課税限度額が設けられています。)
■源泉徴収票をチェックしなければならない理由
さて、本日の本題。
源泉徴収票をチェックしていますか?という問いかけです。
会社から発行される源泉徴収票は専用ソフトやシステムで計算されているから間違っているはずないと思われているかもしれませんが、計算の元になるデータを入力するのは人間なので「絶対」はありません。
実はわたしも「ちゃんと見たことない派」でした。
しかし、あるとき給与の振込額が激減し明細を確認したところ、とんでもない額の住民税が天引きされていることがわかりました。
原因は前年末の時点で間違った支払額データが入力され、その額をベースに住民税が計算されていたそうです。
源泉徴収票を受け取った時点で支払額がおかしいと気づいていれば簡単に修正できたところ、わたしがあまりにも無頓着で住民税の天引きが始まった翌年の6月まで気付かなかったため、還付を受けるまで相当な時間と労力がかかってしまいました。
それだけでもかなりのダメージですが、この時はかなり大きな金額だったので気づいたものの、もし数千円の違いなら恐らく気づかず住民税を多く払い続けていたことは容易に想像できるので冷や汗ものです。
金額の入力ミス以外にも、例えば控除対象扶養親族の区分をひとつ間違っただけで控除額が変わりますし、住宅ローン控除などが漏れているとせっかくの恩恵が受けられず、住民税にも大きな影響があります。
そもそも、年末調整で提出した書類に自分(従業員側)が申告内容を間違って記入していたり、生命保険料控除証明書を1枚忘れてた!というケースもありそうですよね。
うっかりで大損しないためにも
「どんな優秀なシステムを使っていても人的ミスは必ず起きる」
を教訓に、受け取った源泉徴収票は穴があくほど確認して自分自身で最終チェックをできるようになっておきましょう。
ということで、次回は「源泉徴収票の見方」をお伝えします。