更新日:2025年9月2日
外貨預金は「金利が高いからお得」と思われがちですが、為替レートの変動や両替手数料によって元本割れするリスクもある金融商品です。
本記事では、外貨預金の仕組みやメリット・デメリットを初心者にもわかりやすく解説し、円安・円高局面での活用法や注意点を具体例とともに紹介します。
投資としての位置づけを正しく理解し、自分に向いているか判断する参考にしてください。
1 外貨預金とは?仕組みをわかりやすく解説
外貨預金とは、日本円ではなく米ドルやユーロ、豪ドルなどの外国通貨で資産を預け入れる金融商品です。
銀行や証券会社を通じて口座を開設し、円を外貨に両替して預ける仕組みとなっています。
通常の円預金と大きく異なるのは、預け入れ時と引き出し時に為替レートが影響する点です。
円高・円安の変動によって、元本が増えることもあれば減ることもあります。
これが「為替リスク」です。
外貨預金は一見「預金」という名称がついているため安全性が高いと誤解されがちですが、実際には為替変動リスクを伴う投資性の強い商品です。
また、銀行によっては預金保険の対象外となるため、円預金のように元本保証はされません。
そのため、外貨預金は単なる貯金ではなく、リスクとリターンを理解したうえで運用する必要があります。
2 外貨預金のメリット
外貨預金の最大のメリットは「金利の高さ」です。
日本の普通預金の金利はほぼゼロに近い水準ですが、米ドルや豪ドルなどの外貨では年2〜3%前後の金利が期待できます。
さらに、為替変動によって円安に進んだ場合、為替差益を得られる可能性があります。
たとえば、1ドル=100円のときに100万円をドルに替えて預け入れ、1ドル=110円になったときに円に戻せば110万円となり、金利以上の利益を得られることになります。
加えて、資産を外貨に分散することで円の価値が下落した場合のリスクヘッジになる点も見逃せません。
円安局面では生活コストが上がる一方で、外貨預金を保有していれば資産価値を維持できるからです。
つまり、外貨預金は「金利収益」「為替差益」「資産分散」の三つのメリットを享受できる商品といえるでしょう。
3 外貨預金のデメリット
一方で外貨預金にはデメリットもあります。
その代表が「為替リスク」です。
預け入れたときより円高が進めば、資産価値は減少します。
例えば1ドル=100円で100万円を預け、1ドル=90円に円高が進めば90万円となり、元本割れしてしまいます。
さらに注意が必要なのが「両替手数料」です。
外貨を購入する際と円に戻す際に手数料が発生し、往復で1ドルあたり2円程度かかる場合もあります。
100円で購入したドルを同じ100円で売却しても、手数料のせいで損失が出てしまうのです。
加えて、預金保険の対象外であるため銀行が破綻した場合に保護されない点もリスクです。
このように、金利の高さだけに目を奪われると痛い損失を抱える可能性があります。
外貨預金は「預金」という名前に惑わされず、投資商品であることを理解して利用することが重要です。
4 外貨預金のおすすめ活用法
外貨預金を活用するなら、まず「円高局面で預け入れる」ことが鉄則です。
円の価値が高いときに外貨を購入すれば、将来的に円安に進んだ際のリターンが大きくなるからです。
ただし、為替の動きは誰にも正確には予測できません。
そのため、短期的な値動きを狙うのではなく「長期的に保有する」「分散投資の一環」として取り組むことが有効となります。
両替手数料や為替変動の影響を吸収できるのは年単位の運用であり、1年程度で解約してしまうと金利収入が手数料に食われてしまいます。
加えて、外貨預金は資産の一部にとどめることが賢明です。
全額を外貨に預けるとリスクが高すぎるため、ポートフォリオの一部として20%程度を外貨預金に配分するのがおすすめです。
つまり、外貨預金は「円高で仕込み、長期で持ち、分散投資の一環として使う」ことが成功のポイントとなります。
5 外貨預金は初心者に向いている?
外貨預金は投資初心者でも始めやすい商品ではありますが、万人に向いているわけではありません。
銀行で簡単に口座を開設でき、商品性もシンプルなため「株やFXは怖いけど金利収入が欲しい」という人には選択肢の一つになります。
しかし、為替リスクや手数料の仕組みを理解しないまま預けると損失につながる可能性が高いため注意が必要です。
向いているのは「円だけに資産を集中させたくない人」「長期的に資産を分散して守りたい人」「為替の値動きに一喜一憂しない人」です。
逆に「短期間で確実に利益を得たい人」「リスクを全く取りたくない人」には不向きです。
比較対象としては、より安全性が高い「債券」、リスク許容度がある人には「FX」などもあります。
自分の資産運用目的やリスク許容度を冷静に見極めたうえで、外貨預金を選択するかどうか判断することが大切です。
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著:株式会社FAMORE 代表取締役 武田拓也