外貨投資は為替に注意【投資初心者向け】大阪FP

外貨投資は為替に注意【投資初心者向け】大阪FP

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

円安が進む中「外貨を持つことで資産を守れる」「ドルで運用すれば金利が高い」といった理由から

外貨投資に注目が集まっています。
しかし、為替の変動リスクを軽視して投資を始めると思わぬ損失を被ることもあります。

外貨預金、外貨建て保険、海外不動産、FX(外国為替証拠金取引)など外貨を扱う手段は多様ですが、いずれも「円高・円安」による価格変動が避けられません。
このコラムでは投資初心者が外貨投資を始める前に気をつけるべきポイントを解説します。

①「為替リスク」の本質を理解する

外貨投資の最大の特徴は、為替レートの変動による損益です。
たとえば、1ドル=150円の時にドルを買って1ドル=140円になった場合、円に戻すと約7%の損失になります。

このように外貨そのものの価値が下がらなくても「円高」になるだけで資産価値が減ってしまうのが為替リスクの怖さです。
一方で、円安になれば利益を得られる可能性もありますが「為替の方向を予測する」ことはプロでも困難です。

②「高金利通貨=得」とは限らない

外貨投資の魅力の一つが「高金利通貨による利息収入」です。
例えば、ブラジルレアルやトルコリラ、メキシコペソなどは金利が高く、円よりも利息収入が多く見込めます。

しかし過度に金利が高いということは、その分通貨価値の変動リスクも大きい場合があります。
新興国では高金利通貨ほど政治的・経済的に不安定な国が多く、為替が急変しやすい傾向があります。

「高金利=安全に儲かる」とは限らないことを肝に銘じましょう。

③「短期の為替変動」に振り回されない

初心者が陥りがちなのが為替の小さな動きに反応して頻繁に売買してしまうことです。
為替レートは日々、政治情勢・金利差・経済指標・投機筋の動きなど様々な要因で動きます。

頻繁な売買は手数料がかさみ、「手数料負け」する可能性が高まります。
外貨投資は数週間〜数か月の短期勝負ではなく、中長期的な視点で持つことが基本です。

④「手数料」と「スプレッド」を確認する

外貨取引では購入・売却の際にかかる手数料またはスプレッド(買値と売値の差)が存在します。
たとえば1ドル=150円で買って、149.5円で売れるとすると、実質0.5円(約0.33%)の差がコストになります。

特に外貨預金やFXでは金融機関によって手数料の設定が大きく異なります。
外貨預金の中には往復で1ドルあたり2円以上の手数料がかかるケースもあるので要注意です。

取引前に必ず「手数料一覧」や「スプレッドの開き」を確認することで実質的なコストを把握しましょう。

⑤「元本割れの可能性」を理解する

外貨預金や外貨建て保険を「銀行で勧められたから安心」と思うのは危険です。
たとえ元本保証型の預金であっても円換算では元本割れすることがあります。

たとえば1ドル=150円の時に10,000ドルを預けて(150万円相当)、円高で1ドル=130円になった時に解約すると、130万円しか戻りません。
利息がついても為替変動で簡単に帳消しになるのです。

⑥「外貨建て保険」の複雑さに注意

外貨建て終身保険や外貨建て年金保険は保険と投資を組み合わせた商品ですが、仕組みが複雑です。

・為替リスク

・解約控除

・為替手数料

・保険料の変動
など、多くのコスト要因が存在します。

特に「将来の受け取りが増える」と強調されがちですが、円高局面では受取額が目減りすることもあります。
初心者は「仕組みを完全に理解できない商品には手を出さない」ことが鉄則です。

⑦「分散投資」でリスクを抑える

外貨投資はポートフォリオの一部として取り入れるのが理想です。
たとえば資産の10〜20%程度を外貨に分散して、残りを円資産(株式・債券・投資信託など)に置くことで為替リスクを分散できます。

「円安に強い資産」と「円高に強い資産」を組み合わせることで、どんな相場にも対応できる柔軟なポートフォリオを構築できます。

⑧「為替レートの長期トレンド」を知る

為替は短期的に乱高下しますが、長期では「国の経済力」「金利」「インフレ率」によって動きます。
たとえば2025年現在ではアメリカは長期的に金利が高く、日本は低金利政策を継続しているため構造的な円安トレンドが続いています。

しかし、このトレンドも永遠ではありません。
金融政策の転換(日本の利上げ、米国の利下げなど)によって潮目が一気に変わることもあります。
「今の円安は永遠に続かない」という視点を持ちましょう。

⑨「為替相場に過度な期待をしない」

外貨投資は「大きく儲けるための手段」ではなく「資産を分散して守る手段」と捉えることが重要です。
円安で資産が増えることもありますが、円高で減ることもあります。

特に初心者は為替相場の動きを予測しようとするよりも、定期的に少額ずつ外貨を購入(積立)するほうがリスクを抑えられます。
時間を味方にした「コツコツ積み立て」の外貨投資が長期的な成功につながります。

【まとめ】外貨投資は「リスクを知って味方につける」ことが大切

外貨投資は世界経済に触れる絶好のチャンスであり、資産防衛の手段にもなり得ます。
しかし、為替リスクや手数料を理解せずに始めると、かえって資産を減らすことにもなりかねません。

初心者が気をつけるべきポイントは次の3つです。

⑴為替リスクと手数料の仕組みを理解する

⑵「高金利」「円安トレンド」に惑わされない

⑶分散・積立を意識して長期運用する

外貨投資は「危険な賭け」ではなく、「堅実なリスク分散」です。
知識と計画を持って取り組めば、あなたの資産を成長させる大きな力となるでしょう。

2025/11/18