投資型クラウドファンディングのメリットとデメリット【大阪FP】

投資型クラウドファンディングのメリットとデメリット【大阪FP】

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

【はじめに】クラウドファンディングの進化形「投資型」とは

クラウドファンディングと聞くと、「寄付」や「応援購入」をイメージする人が多いかもしれません。

しかし、ここ数年で急速に拡大しているのが「投資型クラウドファンディング」です。
これはインターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集め、企業や不動産プロジェクトなどに投資する仕組みを指します。

少額から参加でき、金融商品取引法や不動産特定共同事業法などのもとで運営されているため、個人投資家でも始めやすいのが特徴です。

投資型クラウドファンディングは大きく次の3つに分類されます。

  • 株式型:スタートアップ企業などの株式に出資する

  • 融資型(ソーシャルレンディング):企業や個人にお金を貸して利息を得る

  • 不動産投資型:不動産事業に投資して賃料収入や売却益を得る

ここでは、それぞれに共通するメリットとデメリットを整理しながら今後の投資手法としての可能性を探ります。


メリット①:少額から始められる「新しい資産運用」

投資型クラウドファンディングの最大の魅力は少額投資が可能な点です。
従来の株式投資や不動産投資では数十万〜数百万円単位の資金が必要でした。

しかし、クラウドファンディングでは1口1万円から始められる案件も多く、初心者でも気軽に参加できます。

たとえば不動産投資クラウドファンディングなら1万円で大型マンションや商業施設の運用に関われることもあります。

そのため「まとまった資金がないと投資できない」というハードルが下がり資産形成の裾野が広がりました。


メリット②:手間のかからない運用スタイル

もう一つの利点は運用の手間がほとんどかからないことです。
株式やFXのように日々の価格変動を追う必要はなく、投資先の選定と募集への応募を行えば

あとは運営会社がプロジェクトの運営・管理を行います。

特に不動産型の場合、物件の取得・管理・売却までを運営会社が代行するため、オーナーとしての管理負担はゼロです。

配当金や利回り報告を待つだけで自動的に資産が増えていく「ほったらかし投資」が可能です。


メリット③:分散投資によるリスク低減

クラウドファンディングは、複数案件への分散投資が容易です。
1件あたりの最低投資額が低いため、10万円の資金でも10案件に分けて投資することができます。

これは特定の企業やプロジェクトに依存せず、リスクを平準化できるという大きなメリットです。

たとえば1件が失敗しても他の案件から配当が得られれば、トータルで損を抑えられる可能性があります。

この点で初心者や慎重派の投資家にも向いているといえるでしょう。


メリット④:社会貢献型の投資体験

投資型クラウドファンディングの多くはスタートアップ企業や地域創生、不動産再生など社会的意義のあるプロジェクトが対象です。
「利益を得ながら社会にも貢献したい」という志向を持つ投資家にとっては単なる金銭的リターン以上の満足感を得られます。

特に地方創生型クラウドファンディングでは「地元の温泉旅館の再生」や「地域特産品ブランドの育成」など、投資を通じて地域経済の活性化に寄与できるのが特徴です。


デメリット①:元本保証がない

一方で、投資型クラウドファンディングには元本保証がないという明確なリスクがあります。
プロジェクトが失敗した場合、出資金の一部または全額が返ってこない可能性があります。

特に株式型では投資先企業が倒産すれば出資金はほぼゼロになるケースも。

過去には不動産に投資するクラウドファンディングで運営会社が破綻し、投資家が出資した資金が返ってこなかった事例もあります。

「少額だから」と油断せず、案件内容をしっかりと精査して分散投資を徹底することが重要です。


デメリット②:流動性が低い(途中換金できない)

投資型クラウドファンディングでは原則として途中解約ができません
募集期間が終了し、投資が成立すると償還期間(たとえば6ヶ月〜3年)が終わるまで資金はロックされます。

途中で現金が必要になっても株式のように売却して換金することはできません。

したがって「余裕資金で行う長期投資」であることを理解しておく必要があります。


デメリット③:運営会社の信用リスク

もう一つ注意すべきは、運営会社自体のリスクです。
プロジェクトを管理・配当するのはクラウドファンディング事業者であり、この運営会社が倒産・不正行為を行った場合には投資家が損失を被る可能性があります。

過去にはソーシャルレンディング業界で、虚偽案件や不正流用が発覚した事例もありました。

そのため、金融庁の登録を受けている事業者かどうか、実績や監査体制を確認することが不可欠です。


デメリット④:情報の非対称性

投資型クラウドファンディングは非上場企業や限定プロジェクトが多いため、公開情報が少ないというデメリットもあります。
投資判断に必要な詳細な財務データや運用実績が開示されないケースも多く、投資家が事業リスクを完全に把握するのは難しいのが現状です。

そのため「信頼できる運営会社を選ぶ」「第三者評価や口コミをチェックする」などの自衛策が求められます。


投資型クラウドファンディングの活用ポイント

以上を踏まえ、投資型クラウドファンディングを活用する際のポイントをまとめると次の通りです。

  1. 分散投資:1案件に集中せず、複数案件へ分けて投資する

  2. 運営会社の信頼性確認:金融庁登録、実績、評判をチェック

  3. 余裕資金で投資:途中換金できない点を前提に、生活資金とは別枠で

  4. 社会的リターンも考慮:利益だけでなく、社会貢献や学びの価値も重視

これらを意識すればリスクを抑えながら新しい投資分野に挑戦できます。


【まとめ】リターンだけでなく「経験」を得る投資へ

投資型クラウドファンディングは単なる資産運用手段ではなく、投資を通じて社会とつながる新しいスタイルです。
たとえ利回りが高くなくても「応援したい企業に出資する」「地域の再生に貢献する」という付加価値を得られるのは

他の金融商品にはない魅力です。

ただし、元本割れや流動性リスクを理解しないまま参加すると思わぬ損失につながる可能性もあります。

投資型クラウドファンディングは「リスクとリターン」そして「社会的意義」を総合的に判断しながら、

自分の資産形成戦略に組み込むことが重要です。

少額から始めて学びながら成長できる投資。それが「投資型クラウドファンディング」の本質です。

2025/10/6