生命保険を見直す時に注意すべきポイント(ライフステージ別)

生命保険を見直す時に注意すべきポイント(ライフステージ別)

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

インフレによる物価高で家計が圧迫されています。少しでも収支の改善をするために固定費の見直しをされているご家庭は多いと思います。
今回は生命保険の見直しをする際に注意すべきポイントについてコラムを作成しました。
ライフステージや経済状況の変化に合わせて見直すことで、無駄なく必要な保障を確保できますので、まだ保険の見直しをされていない方は是非、参考にしてください。

【生命保険を見直す時に注意すべきポイント】

① ライフステージの変化を確認

日々に追われて、お金や保険のことが後回しになってしまうこともありますが
以下のような節目で保障内容が適切かを見直すことが重要です。

結婚
出産
住宅購入
子どもの進学
転職
退職
離婚や配偶者との別離 など

② 現在、加入している保険の保障内容を把握する

死亡保障・医療保障・がん保険・三大疾病・収入保障・個人年金保険など、
どんな保障に加入しているのかを確認します。
保険の金額・保険の期間・特約の内容などを再確認し、
内容がわからない場合は保険に詳しいFPに相談しましょう。
複数の保険に加入している場合は、重複していないかチェックします。

③ 公的保障の内容を知り、生命保険とのバランスを考える

健康保険、障害年金、遺族年金、高額療養費制度、介護保険制度など、国の制度でカバーされる範囲を把握することは重要です。
保険の見直し依頼があり、加入されている保障内容をみていると必要以上に保険に加入されている人が多くいます。
必要以上の保障に入っていないか見極めましょう。

④ 保険料の負担と家計のバランス

毎月の支出に対して保険料が負担になっていないか、
将来の貯蓄や投資とバランスも考えましょう。

⑤ 保険の目的を明確にする

「万が一の際に家族の生活を守る」など、目的を再確認します。
必要がなくなった保険に加入し続けている場合は解約手続きをしましょう。
貯蓄目的か保障目的かによって、適した保険の商品は異なります。
またお金を増やす目的であれば保険以外にも債券や投資信託などさまざまな金融商品があります。あわせて確認をしてみましょう。

⑥ 健康状態の変化に注意する

健康状態が悪化すると、新たに保険に入れなくなる場合があります。
生命保険に加入したり、見直したりするタイミングとしては健康なときがベストです。
ただ、健康な時に保険の必要性を感じることはほとんどないので難しいところです。
このコラムを読んだ今のタイミングで見直しを進めましょう。

⑦ 特約の見直し

無駄な特約(例:傷害特約、介護特約、骨折時の特約など)を付加しすぎていないか確認します。
自分のニーズに合った特約だけを残すことで、保険料の節約につながります。

⑧ 保険は複数社で比較検討する

保険料や保障内容は会社によって違いがあります。
複数の保険会社を扱っている担当者に自分の年齢で、各社ともに保障内容を一律にして掛け金を計算してもらうことにより、どこの商品が自分にとってお得かがわかります。

⑨ 保険の「見直し=解約」ではない

必要な保障まで減らしてしまわないように注意しましょう。
解約前に「減額」や「払済」などの選択肢も検討することで、よりよい選択が可能となります。

続いて「ライフステージ別」に保険を見直す時の注意点を見ていきましょう。
人生の節目ごとに必要となる保障の内容や見直しポイントを整理したものです。
以下をご覧ください。

【ライフステージ別の保険見直しガイド】

① 独身・社会人になったばかりの頃(20代〜30代まで)

保険の主な加入目的
自分自身のケガや病気への備え
万一の際の葬儀費用程度の死亡保障
チェックポイント
医療保険・がん保険は入院や治療費をカバーできる保険で、若いうちは保険料が安いので一生涯加入し続ける土台の商品を探す。
死亡保障は両親に負担をかけない程度に必要最小限でOKです。
就業不能保険として、病気やケガで働けなくなった場合にも備えておくと安心です

② 結婚・配偶者ができたとき

保険の主な加入目的
配偶者の生活保障のため
病気やケガで働けない時に家計を維持できるようにする備え
チェックポイント
死亡保険は配偶者の生活費をカバーできる額に見直す
医療保険は夫婦ともに保障内容をチェックする
共働きであっても、どちらかが働けなくなるリスクを考慮する。

③ 子どもが生まれたとき

保険の主な加入目的
教育資金の準備
遺された家族の生活費を保障
チェックポイント
定期保険や収入保障保険で子どもが独立するまでの生活費を確保する
学資保険は利率が低く、効率がよくないためNISAで投資信託の積立なども検討する
配偶者の保険加入状況も確認する
自分に万一があった場合、家庭がどうなるかをシミュレーションして備える

④ 住宅を購入したとき

保険の主な加入目的
住宅ローンとの兼ね合いをチェックする
チェックポイント
団体信用生命保険(団信)の加入内容を確認する。
例えば、死亡保障が団信と重複していないか。
家計の支出増により、保険料が負担になっていないかもチェックする。

⑤ 子どもの進学・独立期(50代前後)

保険の主な加入目的
教育費の備えと、自分たちの将来の医療費や介護への備え
チェックポイント
学資保険の受け取り・活用方法を考える。
医療保険・がん保険の新商品を確認し、見直した方が得な場合は切り替えを検討する。
親や自分たちの介護が必要となった際の備えにも取り組む

⑥ 退職・老後(60代〜)

保険の主な加入目的
医療・介護の保障確保と資産保全、相続
チェックポイント
子どもが独立している場合には死亡保障は縮小して問題なし。
医療・介護保険を重点的に見直します。
年金や資産と合わせて、「貯蓄型保険」を今後どう活かしていくかを検討する。

このように保険を見直すタイミングは長い人生で幾度とあります。
月々の掛け金はそれほど高額でなくとも、10年20年という長い期間でみたときには掛け金は数百万円にもなります。
ライフイベント時(結婚・出産・住宅購入・転職・退職など)に見直しをしておきましょう。
また健康なうちであれば選択肢は多くありますが、病気をしてからでは加入に制限があり、また加入できないこともあります。
早め早めの準備で後悔のない保険選びをしましょう。

2025/5/17