不動産を相続した人が早く空き家を処分した方が良い理由は、以下のように複数あります。
特に放置することで生じる経済的・法的・社会的リスクが大きいため、早期の判断・対応が重要です。
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空き家を所有していると固定資産税・維持費がかかり続ける
空き家でも固定資産税や都市計画税は毎年発生します。
管理を怠ると草刈り・清掃・害虫駆除・修繕などの維持費もかさみます。
そのため、利用していないのにお金だけが出ていく「負動産(ふどうさん)」になりかねません。
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空き家は「特定空家」に認定されると税負担が増える
管理が不十分な空き家は、自治体から「特定空家」に指定される場合があります。
そうなると、固定資産税の軽減措置(最大1/6)が解除され、税額が6倍になることも。
行政からの指導により費用が発生するリスクもあります。
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老朽化による事故・責任リスク
倒壊や屋根の落下により通行人がケガをしたり、隣地への越境などが発生したりすれば、所有者が損害賠償責任を問われます。
放火や不審者の侵入といった犯罪の温床にもなりやすく、地域の安全にも悪影響があります。
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市場価値が下がる可能性
時間が経つほど建物は劣化し、資産価値が下落します。
特に地方の空き家や築古物件は、早めに手放さないと買い手がつきにくくなる傾向があります。
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相続人同士のトラブル回避
空き家を共有で相続していると、売却・活用について意見が割れることがあります。
時間が経つと相続人の高齢化や死去により、権利関係が複雑化(数次相続)し、処分が困難になります。
まとめ:放置はリスク。早期判断が資産を守る
空き家は「持っているだけでコストとリスクが増える」存在になりやすいため、
活用しない空き家は早めに「売却」することが、経済的にも精神的にもよいでしょう。
空き家を処分するには、まず現状把握→方針決定→実行のステップを踏むことが大切です。
以下にわかりやすく「空き家処分の進め方」をまとめます。
空き家処分の進め方【7ステップ】
① 相続登記・名義変更を済ませる(法的な整理)
不動産を正式に相続した後は、名義変更(相続登記)を行います。
2024年4月からは相続登記が義務化され、3年以内にしないと過料(10万円以下)の対象になるので注意が必要です。
必要な書類として遺言書・戸籍謄本・相続関係図・固定資産税評価証明書などがあります。
② 現地調査(建物・土地の現況を把握)
空き家の劣化状況・構造・築年数・接道・用途地域などをチェックします。接道の有無や用途地域により売却の難易度が大きく変わります。
必要であればホームインスペクション(住宅診断)を依頼(3〜10万円程度)することもありますが、築年数が古い場合には実施しなくてもよいでしょう。
写真を撮って記録しておくと、不動産業者とのやり取りがスムーズになります。
③ 近隣・権利関係の確認
境界トラブルや越境がないかを確認。あれば測量士による境界確定測量も検討します。
共有名義の場合は、他の相続人の同意も必要となります。
④ 処分方針を決める(売却/解体など)
選択肢ごとの概要は以下の通りです。
方法 | 特徴 |
売却(建物付き) | 建物に価値があれば有利。すぐ現金化したい人向け。 |
売却(更地) | 建物に価値がないなら解体して更地にして売る。
ただし、市街化調整区域や再建築が付加な場合は解体せずに 古家付き土地として売却した方が有利な場合も |
解体して保有 | 固定資産税は増えるが、リスクを軽減できる。将来売却や活用の準備に。 |
※地域や建物状況に応じて、専門家と相談しながら実施することをオススメします。
⑤ 不動産会社・専門家に相談
空き家の取引に慣れている不動産会社に査定依頼。
複数社に相談して「仲介か買取か」も検討(早く現金化したいなら買取も有力)。
必要に応じて、司法書士・税理士・土地家屋調査士とも連携する。
⑥ 補助金・税優遇を活用
自治体によっては「解体費用補助」などの支援制度があります。
早めに自治体の制度を確認しておきましょう。
⑦ 実行(売却契約・解体)
方針が決まったら、実行フェーズへ。
売却の場合は買主との契約、解体なら業者選定との契約などを行います。
税金(譲渡所得税など)にも注意し、確定申告の準備もしておきましょう。
空き家処分でよくある失敗
・建物に価値があると思っていたが、実はマイナス評価だった
・解体したら売れると思ったのに、費用倒れになった
・相続人同士の意見が合わず放置されてしまった
・近所から苦情が来て慌てて処分に動いた
これらを防ぐには、「早めに専門家に相談して動く」ことが一番大切です。
弊社でも不動産についての相談を受け付けていますので、気軽にご相談ください。