みなさんが投資と聞くと、真っ先に株式投資などを思い浮かべるのではないでしょうか。私もその一人でした。
株式投資の魅力は、これから伸びるであろう企業に投資し、将来、会社が成長したら株を売却することで値上がり益(キャピタルゲイン)を得られることです。また、株によっては株主優待や配当金などを得られるものもあり、それらのインカムゲインも魅力のひとつです。
【株式投資の特徴】
①売買差益(キャピタルゲイン)が得られる
②配当収入(インカムゲイン)が得られる
③株主として株主総会に参加できる
④デイトレード
デイトレードは、株式、通貨、先物などの金融商品を1日のうちに売買する取引手法のことを指します。デイトレーダーは、市場が開いている時間内にポジションを開いて閉じることを目指し、日中の価格変動を利用して利益を得ようとします。以下にデイトレードの基本について説明します。
デイトレードの特徴
【短期取引】
デイトレーダーは、1日の取引時間内に複数の取引を行い、その日の終わりまでに全てのポジションを閉じることを目指します。夜間にポジションを持ち越さないことで、翌日の市場変動によるリスクを回避します。
【高頻度取引】
短期間で多数の取引を行うため、取引の回数が非常に多くなります。これにより、取引手数料が増加することがあります。
【市場の流動性】
デイトレードは、流動性が高く、取引量が多い市場で行うのが一般的です。流動性が高いほど、迅速かつ効率的に取引を行うことができます。
デイトレードの戦略
【スキャルピング】
数秒から数分程度の超短期取引を行い、小さな価格変動を狙って多くの取引を行う手法です。
【モメンタムトレード】
価格の急上昇や急落を捉え、その勢いに乗じて取引を行う手法です。
【リバージョントレード】
過剰な価格変動が反転することを予測し、その反転のタイミングで取引を行う手法です。
デイトレードのリスク
【高いリスク】
短期間での価格変動を利用するため、損失が発生するリスクも高くなります。
【ストレス】
高頻度の取引や迅速な意思決定が求められるため、精神的なストレスが大きいです。
【取引手数料】
多数の取引を行うため、取引手数料が累積し、コストが増加することがあります。
【技術的な問題】
インターネット接続の障害や取引プラットフォームの不具合が発生する可能性があり、取引に影響を与えることがあります。
デイトレードに必要なもの
【高速なインターネット環境】
リアルタイムの価格情報や取引を行うためには、安定して高速なインターネット接続が必要です。
【取引プラットフォーム】
使いやすく、必要な機能を備えた取引プラットフォームを選ぶことが重要です。
技術分析ツール:
チャートやテクニカル指標を用いて価格の動向を分析するためのツールが必要です。
デイトレードは、迅速な意思決定や高頻度の取引が求められるため、経験と知識が必要です。また、リスク管理が重要であり、十分な準備と計画が成功の鍵となります。
⑤スイングトレード
スイングトレードは、数日から数週間の期間でポジションを保有し、相場の短期的な変動を利用して利益を狙う取引手法です。デイトレードよりも取引の頻度は低いですが、より長期的な視点で市場の動きを捉えることが求められます。以下にスイングトレードの基本について説明します。
スイングトレードの特徴
【中期の保有期間】
スイングトレーダーは、数日から数週間にわたってポジションを保有します。短期的な価格の上昇や下落を捉えて利益を得ることを目指します。
【技術分析とファンダメンタルズ分析の併用】
スイングトレーダーは、チャートやテクニカル指標を用いた技術分析と、企業の業績や経済指標などのファンダメンタルズ分析を組み合わせて取引の判断を行います。
【トレンドフォロー】
市場のトレンドを捉え、そのトレンドに沿った取引を行います。トレンドの転換点を見極めることが重要です。
【リスク管理】
スイングトレーダーは、ストップロスや利益確定の注文を設定し、リスク管理を徹底します。これにより、大きな損失を防ぐことができます。
スイングトレードの戦略
【トレンドフォロー戦略】
上昇トレンドや下降トレンドに沿ってポジションを取る戦略です。トレンドが続く限り、その方向に沿った取引を行います。
【ブレイクアウト戦略】
サポートラインやレジスタンスラインを突破したときにポジションを取る戦略です。価格が一定の水準を突破した後、大きな変動が起こることを期待します。
スイングトレードのリスク
【ギャップリスク】
市場が閉じている間に重大なニュースが発生し、翌日の価格が大きく変動するリスクがあります。
【感情的なストレス】
ポジションを数日から数週間にわたって保有するため、市場の変動に対する感情的なストレスがかかることがあります。
【分析の誤り】
技術分析やファンダメンタルズ分析の誤りにより、予測が外れるリスクがあります。
スイングトレードの利点
【柔軟な取引時間】
デイトレードに比べて取引の頻度が低いため、フルタイムの仕事を持つ人でも取り組みやすいです。
【大きな利益の機会】
中期的なトレンドを捉えることで、比較的大きな価格変動を狙うことができます。
【コストの低減】
取引の頻度が低いため、取引手数料やスプレッドのコストを抑えることができます。
スイングトレードに必要なもの
【ファンダメンタルズ分析の知識】
企業の業績や経済指標などを分析し、取引の判断材料とするための知識が求められます。
【リスク管理のスキル】
ストップロスや利益確定の注文を適切に設定し、リスク管理を徹底するスキルが必要です。
スイングトレードは、デイトレードよりも長期的な視点で取引を行うため、取引の頻度は低いですが、相場の中期的な動きを捉えることが求められます。適切な分析とリスク管理が成功の鍵となります。
⑥ホールド(長期保有)
株式投資は、「安く買って高く売る」という単純なことを繰り返していくことになりますが、株の保有期間も考えておく必要があります。
いわゆるデイトレードといった、ごく短期間での売買はスキルが必要となるため、初心者にはあまりおすすめできません。
特に会社員の方にとっては、市場がオープンしている平日9~15時に頻繁に取引することは現実的ではないでしょう。
常に値動きを確認できない時には指値注文を活用すると良いでしょう。指値注文は「この値段になったら買う・売る」とあらかじめ注文をしておく仕組みです。これにより常に値動きを見ておく必要ななくなります。
またトヨタや任天堂、ファーストリテイリング(ユニクロ)など、名のある企業の株を購入しようとすると、数十万円から数百万円単位での資金が必要になるケースもあります。
有名企業でも少額で買える株もあるので、広くアンテナを張り、情報収集することも重要になってきます。
キャピタルゲイン・インカムゲインはもちろん魅力ですが、私が感じる株式投資の魅力のひとつが「株主総会への参加」です。
その業界の最新の話題、会社の姿勢、経営陣の顔ぶれなどを見ることができ、質問を投げかけることも可能です。
ホテルのパーティー会場や自社ビルのホールなど、大掛かりに行われることがほとんどで、株主としての権利を実感できます。
自社製品をお土産として渡してくれる会社もあるので、株を保有された際にはぜひ参加してみてください。
【株式投資でリスクの低い銘柄選び】
①日用品や医療系のディフェンシブ銘柄
②自己資本比率が高い銘柄
③有利子負債の無い会社
④東証プライム市場に上場している会社
株の銘柄選びは非常に重要です。
長期で安定した運用をするのであれば、配当が年間2%以上見込める株を推奨します。銀行、公共インフラの電力会社、ガス会社などが候補となってきます。
企業の業績悪化により上場廃止や倒産というケースもあり得ます。
そのため、ニュースや株価の変動をチェックし、資金を一カ所に集中させず分散投資することが基本となります。
たとえば、業種、輸出企業と輸入企業、景気敏感銘柄とディフェンシブ銘柄などに分けて投資していきます。
また、倒産のリスクを避けるのであれば、自己資本比率の高い銘柄や有利子負債の無い会社を選ぶと安心です。
初心者の方へのアドバイスとしては、まずは東証プライムの中から銘柄を選んでください。
東証グロースと比較して企業規模が大きく、財務状況がしっかりしている会社が多いため、株の中ではリスクが低いと言えます。
投資する資金にもよりますが、購入する株は最小単位の100株ではなく、200株保有してください(株の売買単位は基本的に100株単位)。
こうして堅実な銘柄を保有し、配当・優待などのインカムゲインを享受しながら、大きく値上がりした場合に100株を売却、つまり半分を利益確定させます。残り半分で引き続き優待・配当を得て、もし値下がり局面が来たら、100株を購入します。
追加分は安く買えることになり、優待・配当が増えるので、メリットを感じられることでしょう。
常に100株を保有することにより、その銘柄と継続して関わることになります。そうすることで株の値動きに慣れて相場観が身についてきます。
投資はギャンブルではなく、仕事や習い事に似ています。続ければ続けるほど上達しますので、ぜひ、はじめの一歩を踏み出してください。
著:株式会社FAMORE 代表取締役 武田拓也(ファイナンシャルプランナー)