親の本籍を知っていますか?

親の本籍を知っていますか?

みなさん、こんにちは。

相続手続きカウンセラーの山原です。

本日は「親の本籍地を知っていますか」についてお伝えします。

 

前回【コラム】相続人は誰だ の中で、相続人は「亡くなった方の戸籍謄本で確認する」と書きましたが

そもそも「戸籍」とはなんでしょうか。

 

 

≪ コラムの目次 ≫

1.戸籍とは

2.戸籍はどこで取得するのか

3.日本の戸籍制度は世界一?!

 

 

1.戸籍とは

 

「戸籍」とは自分の氏名や生年月日、父や母との続柄や配偶者関係など現在の身分関係を証明するもので、謄本にはいくつか種類があります。

 

①戸籍謄本

 

正式名称は「戸籍全部事項証明書」といい、戸籍の筆頭者や本籍地の他、その戸籍に記載される人全員の氏名や続柄などが記載されています。

戸籍がデジタル化されている市区町村では横書で、デジタル化されていないところでは縦書の戸籍謄本となりますが、どちらも証明内容は同じです。

 

②除籍謄本

 

入籍と反対で戸籍に記載されている人が死亡や結婚などにより戸籍から抜けていき、その戸籍の中の人全員がいなくなった場合や、転籍など新しい戸籍が編製されることによって全員がその戸籍から除かれた場合に作成されるものです。

 

③改製原戸籍(かいせいげんこせき)

 

「はらこせき」とも呼ばれ、戸籍法改正前の謄本です。戸籍法は明治4年に制定されて以来、度々改正されています。

戦後、新しい憲法の制定に伴い民法も改正されて戸籍法の大改正が行われた際には、今までの大家族の「家」単位の戸籍から「夫婦とその未婚の子ども」を単位とする戸籍に切り替えられました。

平成6年の改正では、でそれまで和紙に記載して保管していた戸籍をデジタル処理できることになり順次デジタルへ移行しています。

 

ですから、改製原戸籍はかなり古い戸籍も含まれていますが、戸籍法が変わると改製前に死亡や婚姻などでその戸籍から除かれていた人の情報は記載されていないため、出生までを辿る際にこれらの情報が必要な場合は改製原戸籍をとることになります。

 

 

2.戸籍謄本はどこで取得するのか

 

戸籍謄本は基本的に「本籍地」で発行されます。

「本籍」は戸籍を置く場所のことで、その戸籍を管轄している自治体が「本籍地」になります。

 

具体的には、まずは亡くなった方の本籍地の市区町村役場で相続開始時の戸籍謄本(または除籍謄本)を取り、出生から死亡まで連続した戸籍謄本をとっていくことになります。

 

簡単に「本籍地の市区町村役場」と書きましたが、私たちが普段日常生活を送っている際に、本籍に触れる機会はそれほど多くありませんよね。

以前は運転免許証にも本籍が記載されていましたが現在は記載欄が無くなっているので、親の本籍どころか自分の本籍がどこか定かではないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

実は、本籍は日本国内の住所がある場所ならどこでも自分の好きな場所に置くことができます。

例えば、婚姻時に両親の戸籍から抜けて夫婦で新たな戸籍を作る際、二人の思い出の場所などを選択することも可能です。

 

ちなみに、日本で一番多い本籍地は「東京都千代田区千代田1」

そう、皇居だそうです。

関西では、大阪城や甲子園に本籍を置いている人が多いのだとか。

 

そうなると、住民票と違い、戸籍謄本を居住地の役所で取得できるとは限りません。

また、転勤などで引越しの多かった人が住民票と一緒に本籍も移していたような場合、全て遡って各役所から取り寄せることになります。

コロナ禍でいっきにデジタル化がすすみ、郵送や電子申請で証明書の取り寄せが可能になってきているとはいえ、その人の本籍がどう移ってきたのかを調べるだけで何カ月もかかってしまうこともあり、戸籍を揃えるだけでも大変な作業になります。

 

3.日本の戸籍制度は世界一?!

 

実は日本の戸籍は世界の中でもかなり優れた制度であるとも言われています。

例えば、イギリスなどでは日本の戸籍のように国が家族単位で身分登録することはなく、個人登録に近い形で社会保障番号や住民登録で管理されています。

また、Aさんがいつ生まれたかを記録する「出産台帳」と、いつ亡くなったかを記録する「死亡台帳」、また「結婚」についての記録はそれぞれ分離された全く別の管理で整合性がありません。

出産台帳でAさんの記録を調べても、Aさんが生涯で結婚したことがあるのか、現在ご存命なのかは分かりません。

ですから、続柄や配偶者関係など身分関係を公証しようとすると、あらゆるデータを一つ一つ集めて調べなければならず相当な労力が必要になると言われています。

 

相続手続きにおいて「戸籍を集める作業」はとにかく大変というお話になってしまいますが、逆に言えば日本のように「戸籍」さえ揃えれば身分関係の全体を連続性をもって体系立てて公証できるというのは、とても便利な制度ですよね。

 

 

戸籍謄本は自宅や預貯金口座の名義変更をはじめ、あらゆる相続手続きに必ず必要な書類です。

せっかく良い制度があっても「本籍がわからない」などの理由で戸籍取得に時間を取られてしまうと、相続手続きが滞って思わぬ不利益を被ることになりかねません。

今すぐできる相続対策として、本籍確認をきっかけに親が生まれてから今日までどんな人生を過ごしたのか親の歴史をじっくり聞いてみるのはいかがでしょうか。

 

(2022年9月11日時点の情報に基づいています)

2022/9/11