年金と貯蓄だけでは老後破綻のリスク?お金を働かせる方法

年金と貯蓄だけでは老後破綻のリスク?お金を働かせる方法

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

老後資金2000万円問題の現実

2019年に話題となった「老後2000万円問題」。当時は一時的な騒動のように扱われましたが、

2025年の今もその本質は変わっていません。

日本人の平均寿命は延び続け、男性で81歳、女性で87歳。

退職後の生活期間は20〜30年にも及びます。
その間、年金だけでは生活費をまかないきれず、貯蓄が底をつく「老後破綻」が現実的なリスクとして迫っています。

多くの人が「退職金+年金+貯金」でなんとかなると考えがちですが、インフレ、医療費、税金や社会保険料の上昇を考慮すると、それだけでは到底安心とは言えません。

では、老後破綻を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。

答えは「お金を働かせる」ことにあります。

老後破綻を引き起こす3つのリスク

① インフレリスク

物価上昇は年金生活者にとって最大の敵です。

例えば、2%のインフレが10年続けば物価は約22%上昇します。

つまり、毎月30万円の生活費が36万円必要になる計算です。

年金額がほぼ固定される中で実質的な生活水準は下がり続けます。

② 長寿リスク

長生きすること自体は喜ばしいことですが「資産が底を尽きるリスク」が伴います。

平均寿命を超えて生きる人が増える中で90歳、100歳まで資金を保たせる人生設計が求められます。

③ 医療・介護リスク

高齢になると医療費だけでなく、介護費用も発生します。

特別養護老人ホームの自己負担は月8〜12万円、民間の有料老人ホームでは40万円を超えることも珍しくありません。

こうした介護などの支出は想定されておらず、老後の家計を圧迫します。

必ず老後の計画をする際には「介護の費用」も盛り込むようにしましょう。

貯蓄と年金だけでは不十分な理由

「貯蓄さえあれば安心」と考える人も少なくありません。

しかし、金利が低い現在の日本では銀行に預けておくだけではお金はほとんど増えません。
例えば1000万円を普通預金に預けても利息は数千円程度です。

インフレにより実質的な購買力はむしろ減少します。

また、貯蓄を切り崩して生活する「取り崩し型」の老後資金計画は寿命が延びるほど破綻リスクが高まります。
したがって、これからの時代は「お金を貯める」よりも「お金を働かせる」発想が不可欠です。

お金を働かせる3つの基本戦略

① 積立投資で時間を味方につける

老後の資金準備の基本は「長期・積立・分散」です。

株式や投資信託を少額ずつ長期間にわたり積み立てることで価格変動リスクを抑えつつ、複利の力で資産を増やせます。
特にNISAiDeCoなどの制度を活用すれば税制優遇を受けながら効率的に資産を増やせます。

② 配当・分配金で「定期収入」を得る

年金に加えて、債券や高配当株、不動産投資からの利息や配当金、家賃収入を得ることで「自分年金」を作ることが可能です。
例えば、利回り5%の債券に1000万円を投資すれば、年間50万円の不労所得を得られるので生活費の一部をまかなうことができます。

③ 実物資産による安定運用

不動産投資や駐車場経営などの実物資産は景気変動に強く、インフレにも対応できます。

特に賃貸用不動産は「インカムゲイン(家賃収入)」が得られるため長期の安定収入源となります。
ただし、立地選定や管理コストを見誤ると失敗するリスクもあるため専門家の助言を得ながら行うことが重要です。

リスクを抑えた資産運用の考え方

資産運用にはリスクが伴いますが、正しい知識と分散投資をすることでリスクをコントロール可能です。
具体的には次の3点を意識することが大切です。

①アセットアロケーション(資産配分)を決める
 株式・債券・不動産・現金など複数の資産に分散することで特定の資産価格下落に耐えられるポートフォリオを構築します。

②時間の分散(ドルコスト平均法)を活用する
 毎月一定額を積み立てることで購入単価が平準化され、相場の変動に強くなります。

③リバランスでリスクを一定に保つ
 定期的に資産配分を見直すことで過度なリスク偏重を防ぎます。

 例えば、株式の比率が上がりすぎた場合は一部を債券に移すなどが有効です。

今すぐ始めたい「お金を働かせる」第一歩

資産運用は知っていても行動しなければ利益を得られません。

お金は「行動する人」のもとへ集まってきます。
どうすれば良いのか難しく考える必要はありません。

まずは次の3つを実行することから始めてみましょう。

①家計を見直し、毎月の投資原資を確保する
 固定費(通信費・保険料・サブスクなど)を整理し、月1〜3万円の余剰資金を生み出す。

②NISA・iDeCoを活用する
 長期積立による税制優遇は複利効果を最大限に活かせる王道の仕組みです。

③信頼できる金融機関・FPに相談する
 資産状況やリスク許容度に応じて、適なポートフォリオを提案してもらうことで失敗を防げます。

〜「貯める」から「増やす」時代へ〜

これからの時代、老後破綻を防ぐ最大の対策は「お金を働かせる力」を身につけることです。
年金や預貯金に頼るだけではインフレや長寿リスクに耐えられません。

大切なのは貯蓄から投資へ「守りから攻めへ」という意識の転換です。

最初の一歩を踏み出すことで「お金と時間」が味方してくれ、10年後・20年後には大きな果実を得られる可能性があります。
「投資は怖い」と感じる人ほどリスクを抑えて「時間を味方につける積立投資」から始めてみてください。
お金を働かせる仕組みを早期に作り、人生100年時代を「お金に困らない老後」として迎えましょう。

お金を増やす方法はたくさんあります。ネットや書籍から情報収集を行ない、専門家に相談しながら自分にあった選択肢を選びましょう。

2025/10/18