「投資は長期でした方が良い」「長期投資で積立をすれば安定した利益が見込める」という話はよく聞きます。
けれど「私は短期間で資産を増やしたい」と考えている人もいます。
今回は株式投資で短期間に利益を得たいと考えている人向けに「板読み」と「仕手株」の基本について解説します。
このコラムを読まれても確実に利益が得られるという訳ではありません。
投資は自己責任でお願いします。投資で被った損失について弊社ならびに執筆者は責任を一切負いません。
「板読み」とは
株式投資における短期売買(デイトレードで)使われるテクニカル分析手法のこと
「板(=注文状況)を読んで、相場の流れや参加者の心理を予測する技術」
板情報は「歩み値(約定履歴)」とあわせて見ることで、より精度の高い判断が可能です。
板読みで需給バランスを確認
買い注文が多ければ、上昇圧力が強い(買いが優勢)
売り注文が多ければ、下落圧力が強い(売りが優勢)
厚い板・薄い板
板が厚い:その価格帯に注文が多く、壁になりやすい(抜けにくい)。そのため値動きが少なりやすい。
板が薄い:注文が少なく、価格が急変しやすい(動きやすい)。短期間に値が大きく動くことがある。
板読みで感じるアルゴリズムや大口の存在
同じ価格に不自然に大量の注文が並ぶと大口投資家やアルゴ注文の影響が疑われる。
また一定の価格から上昇(下降)しないことがある。
板の変化からの「仕掛け」の兆候を知る
急に注文が消えたり出てきたりすると、相場操作や大きな動きの前兆であることも。
仕手筋が入っている可能性もあり要注意。
エントリーポイントを探る
板が薄いところで大口の買いが入ると株価が一気に動くことがあるため、そのタイミングでエントリーする。
大口の買いが入ると人気化し、価格が上昇しやすくなる。
イグジット(利益確定)のタイミングを測る
板が厚くなって上値が重くなったタイミングで利益確定
OVER(売り)とUNDER(買い)
UNDERが多い時は株価は上昇しやすくなる。
また、OVERが増えてくると下げやすくなる
板読みの注意点
・板読みは短期向けの技術のため中長期投資には向かない
・「板」は流動性の高い銘柄、つまり売買が活発な銘柄で有効
・予想と反する動きも多いため練習と経験が必須
① 買い板の「厚さ」 498円に15,000株
これは強い買い支えがあると解釈する。
この価格では「押し目買い」が期待され株価が下がりにくくなる傾向あり。
② 売り板の「壁」 502円に10,000株
この価格には大量の売り注文が出ているので「上値が重い」という印象がある。
一時的な天井(レジスタンス)になる可能性があるので注意する。
実践編(今後の動きを考える):498円〜500円で株価が推移中
1.エントリー(買い)ポイント
498円の買い板が厚いので、そこをサポートラインと見て「498円で買い注文を入れる」戦略が有効。
→ 499円で買い、502円の壁を抜ければ短期的な利益を狙える
2.利確または様子見のポイント
502円に売り壁があるため、抜けるかどうか様子を見てから利確を判断
→ 502円を食い破る(=板の注文が減っていく)兆候があれば継続保有、逆に跳ね返されそうなら利確
3.注意点:見せ板の可能性
502円の売り板が急に消えたら?
→ これは「見せ板」か、大口の買い注文が吸収した可能性あり
→ その瞬間、株価が急騰する可能性があるので継続
「仕手株(してかぶ)」とは
株式市場において特定の投資グループや個人(仕手筋)が
意図的に株価を操作して短期間で急騰・急落させることを目的に仕掛ける銘柄のこと。
短期で儲けを狙う銘柄(仕手化しやすい銘柄)
・驚くべき新材料が発表される
・予想を覆す上方修正
・M&Aに関する新情報
・出来高が激増している
・もっともらしい理由がある
・時代の変化
・新しいテーマ銘柄
・ゲーム株
仕手株銘柄の候補とする目安
過去に仕手株化した形跡がある
浮動株が少ない
時価総額が100億円以下
発行済み株数120万株以下
低位株 株価500円以下
信用取引ができる
仕手株で注意すべき点
仕手株は予測不能 ファンダメンタル分析やテクニカル分析が通用しない
情報の真偽不明 SNSなどで流れる情報は意図的に作られた可能性がある
リスクが極めて高い 上がるスピードと同様に、下がるスピードも速い
短期トレード向き 長期保有には不向き
仕手戦の流れ(一般的なパターン)
①仕込み(集め) 仕手筋が密かに株を買い集める
②煽り(情報拡散) SNSなどで「この株は上がる!」と煽る
③急騰(吊り上げ) 個人投資家が飛びつき、株価が急上昇
④売り抜け(利確) 仕手筋は高値で売り抜け、利益確定
⑤暴落(後の祭り) 買いが続かず株価が暴落、個人投資家が損失を被る
仕手株における売却のタイミング
・大陰線や上ひげ陰線は手放す(日足)
・出来高を伴っての下落時(仕上げ)
仕手株における購入のタイミング
・長い持合い放れのタイミング(初動)
・長い下ヒゲをつけた時(押し目)
・年初来高値、上場来高値を更新時
・「寄り」「引け」の出来高を伴った上昇時
株式を購入するまでの流れ(デイトレ)5分足
①寄付30分間「値上がりランキング」確認
②ランキングが継続的に上昇しているか
③それに伴い出来高が増加しているか
④条件を満たしていれば購入
株式を購入するまでの流れ(日足)
①「出来高ランキング」確認
②大陽線など強い上昇シグナル確認
③条件を満たしていれば購入
仕手株の探し方(実践的ステップ)
① 急騰ランキングを見る(デイリー/週間)
使うツール
- Yahoo!ファイナンスの「値上がり率ランキング」
- kabutan(株探)の「急騰銘柄」
ポイント
- 理由不明で急騰している銘柄に注目。
- 2日連続で大幅上昇する小型株は要注意。
②SNS・掲示板をチェック
- X(旧Twitter)で銘柄コード検索(例:#3350)
- 5ちゃんねる株板、Yahoo掲示板など
注意点
情報操作の可能性があるため「流れを見る」程度に留める。
※投稿数が増えて人気化している銘柄は要注意
項目 | 解説 |
出来高急増率 | 出来高が5倍以上増えていれば注目 |
価格変動率 | 株価が1日で+10%以上動いていれば異常(目安:±10%以上) |
時価総額 | 時価総額100億円未満の小型株は仕手対象になりやすい |
連続陽線数 | 連続して陽線が続く場合も仕手株の兆候 |
ニュースの有無 | 材料不明で株価が上がる=仕手株疑惑あり |