老人ホームなどを検討する際の費用は?
【平均寿命と健康寿命について】
男性の平均寿命は 81.47 年、女性の平均寿命は87.57年となり、平均寿命は男性より女性の方が6.1年も長くなります。
令和3年簡易生命表の概況|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life21/index.html
平均寿命と健康寿命(介護を必要とせず、健康で日常生活を支障なく過ごすことができる寿命)を比較した場合には男性で約8年、女性で約12年の差がありますので、介護が長期化しても安心して過ごせるように準備しておきたいところです。
最後は人の手を借りて生活する場面が増えてきますが、生活の場として自宅(在宅)で継続して過ごすのか、場所を移して施設で過ごすのか選択肢は大きく2つにわかれます。
それぞれいくらほどの備えがあればよいのでしょうか。
生命保険文化センターが行った調査では、過去3年間に介護経験がある人に、どのくらい介護費用がかかったのかを聞いたところ、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円、月々の費用が平均8.3万円となっています。
なお、介護を行った場所別に介護費用(月額)をみると、在宅では平均4.8万円、施設では平均12.2万円となっています。
介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均61.1カ月(5年1カ月)になりました。4年を超えて介護した人も約5割となっています。
引用:介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html
このデータを元に単純に計算してみると、74万円+(8.3万円×61か月)=580万円となります。
日々の生活費とは別に準備しておきましょう。
【在宅の場合】
自宅で過ごす場合、持ち家であれば家賃は発生しませんが身体の状態に合わせてリフォームが必要になることがあります。
マンションであればバリアフリーになっていることが多いですが、戸建の場合には玄関や廊下などに段差があるのでリフォーム代がかかります。
また足腰の筋力が衰えてくるとトイレや浴室に手すりを備え付ける必要も出てきます。
『リフォーム代の目安』
手すりの設置費用・・・3~15万円ほど
屋内の段差解消・・・1~10万ほど
玄関先の段差解消・・・10~60万円ほど
介護ヘルパーを利用する場合には介護サービス費が発生しますが、施設と比較すると月々の負担は低く抑えることができます。
また、住み慣れた自宅であれば生活環境は変わらず自分のペースで自由に過ごすことができます。
【施設の場合】
自宅で過ごすのは心細いという方は施設に入所するという選択肢もあります。
施設と一口に言ってもさまざまなタイプがあります。
『月額費用の相場』
特別養護老人ホーム・・・5~20万円
サービス付き高齢者向け住宅・・・13~23万円
介護付き有料老人ホーム・・・20~35万円
など
施設の月額費用には介護サービス費、食費居住費、管理費などが含まれています。
また施設へ入居する際には一般的な入居費用として特別養護老人ホームはかかりませんがサービス付き高齢者向け住宅で10~20万円ほど、介護付き有料老人ホームで30~600万円ほどかかります。
それぞれの施設によって方針・サービスの違いもあり、日々のレクリエーションが充実した施設もあれば、お酒やたばこなどの嗜好品が制限されることもあるので、ご自身の生活スタイルに合った施設を探しましょう。
自分に合った介護サービスがわからない場合にはケアマネージャーに相談しましょう。ケアマネージャーには医療に詳しい看護師から介護経験のある社会福祉士などさまざまな背景を持つ人がいるので、ご自身の意向に合った専門家を見つけてください。
著:株式会社FAMORE 武田拓也FP