自宅の購入で失敗した人の共通点~後悔しないチェックリスト10選~

自宅の購入で失敗した人の共通点~後悔しないチェックリスト10選~

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

自宅を「買うこと」がゴールではない

「念願のマイホームを買ったのに思っていた暮らしと違う」
住宅購入後、そう感じる人は少なくありません。

国土交通省の調査でも住宅購入者の約4人に1人が何らかの後悔をしていることがわかっています。
原因は資金計画・立地・将来設計など「事前の準備不足」です。

家は一生に一度の大きな買い物。だからこそ、「勢い」ではなく「計画」で動くことが重要です。
本コラムでは、ファイナンシャルプランナーが見てきた「失敗した人」の共通点と
購入前に必ず確認したい
10のチェックリストを紹介します。


1. 共通点① 予算の上限を「銀行の審査額」で決めてしまう

多くの人がやりがちな失敗が「銀行が貸してくれる金額=買っていい金額」と考えること。
しかし、これは大きな誤解です。

住宅ローン審査は「返済可能額」を基準にしており生活のゆとりまでは考慮していません。
年収に対する返済比率(返済負担率)は実生活では30%以内が理想です。

「借りられる金額」ではなく「無理なく返せる金額」で家を選びましょう。


2. 共通点② 頭金ゼロで購入してローン地獄に陥る

頭金を入れずにフルローンで購入すると借入額が膨らみ、総支払額が数百万円単位で増えます。
さらに転勤・病気・教育費などの不測の事態が起こると家計が破綻しやすくなります。

理想は物件価格の15%程度の頭金+6か月分の生活防衛資金を確保した状態です。

貯金がない状態での購入は「将来の自由」を奪うリスクを伴います。


3. 共通点③ 立地より「建物のデザイン」を優先してしまう

「新築」「デザイン性」「設備の豪華さ」ばかりを重視して立地条件を軽視するのも典型的な失敗です。

立地は資産価値を決める最大の要素です。
駅・学校・スーパー・病院などの利便性、治安、災害リスク、将来の地価動向まで確認しましょう。

「家はリフォームできるが、立地は変えられない」

この原則を忘れずに選ぶことが失敗を防ぐ最大のポイントです。


4. 共通点④ 生活動線をイメージせず間取りを決める

住宅見学の際に「広いリビング」や「おしゃれなキッチン」に目を奪われていませんか?
しかし、実際に住んでみると「洗濯動線が悪い」「収納が足りない」「掃除がしづらい」と後悔するケースが多数。

購入前に、

  • 洗濯 → 干す → しまう の動線

  • 玄関 → リビング → トイレの距離

  • 収納の容量と位置
    を実際に「生活の流れ」としてシミュレーションしましょう。

間取りは見た目ではなく、生活の快適さで判断するのが鉄則です。


5. 共通点⑤ 教育・老後など将来のライフプランを考えていない

子どもの進学・車の買い替え・親の介護・老後資金など
これらを想定せずにローンを組むと後々の支出に対応できなくなります。

住宅購入前に家計のキャッシュフロー表を作成し、
「今後30年の支出シナリオ」を可視化しておくことが重要です。

特に、教育費と住宅費のピークが重なる「子どもが大学進学する時期」を想定した計画を立てておきましょう。


6. 共通点⑥ 住宅ローンの金利タイプを理解していない

「金利が低いから変動型でいい」と安易に選ぶと危険です。
金利が上昇すれば返済額が数万円単位で増える可能性もあります。

固定金利・変動金利・ミックスローンの違いを理解し、
「金利が上がっても家計が耐えられるか」をシミュレーションすることが必須です。

また、住宅ローン控除や団信(団体信用生命保険)など、
税制・保障制度も合わせて比較しましょう。


7. 共通点⑦ 修繕・税金など「見えないコスト」を計算していない

家を買うと購入後にも以下のような費用が発生します。

項目 年間目安
固定資産税 10〜20万円前後
火災・地震保険 3〜5万円
修繕費(戸建) 年10万円程度の積立推奨
管理費・修繕積立金(マンション) 月1〜3万円

これらを含めた「総支出」を把握していないと購入後に家計が圧迫されます。
ローン返済以外のコストも想定しておきましょう。


8. 共通点⑧ 売却・住み替えを想定していない

最初から「一生この家に住む」と決めてしまうのは危険です。
転勤・家族構成の変化・老後の生活設計によって住み替えが必要になるケースは多いです。

購入時点で

  • 売却しやすい立地か

  • 賃貸需要のあるエリアか

  • 将来リフォーム・リノベーションが可能か
    を確認しておくと、将来的に柔軟な選択ができます。


9. 共通点⑨ 周辺環境・近隣トラブルを調べていない

実際に住んでみてから「夜が騒がしい」「隣人トラブルが多い」「臭気・騒音がひどい」と気づく人も少なくありません。
昼だけでなく夜や週末の様子を確認することが重要です。

また、近隣に工場・繁華街・幹線道路がある場合、将来的な環境変化(騒音・交通量)も考慮しておきましょう。


10. 共通点⑩ 「勢い」と「感情」で決めてしまう

最も多い失敗原因が「内覧して一目惚れした」「他の人に取られそうで焦った」という心理的要因です。
住宅購入は感情よりも計画が大切です。

少なくとも5件以上の物件を比較して
「立地」「価格」「将来の維持費」「資産性」を冷静に分析して決断しましょう。


後悔しないためのチェックリスト10項目

No チェック項目 自己評価(Yes/No)
1 無理のない返済計画を立てている ☐ / ☐
2 頭金+生活防衛資金を確保している ☐ / ☐
3 立地と資産価値を重視して選んでいる ☐ / ☐
4 家事・生活動線をシミュレーションした ☐ / ☐
5 将来の教育費・老後資金を見据えている ☐ / ☐
6 金利タイプの特徴を理解している ☐ / ☐
7 固定費・修繕費を含めた総支出を把握している ☐ / ☐
8 売却・賃貸などの出口戦略を考えている ☐ / ☐
9 周辺環境・治安を確認した ☐ / ☐
10 感情ではなくデータと計画で決めた ☐ / ☐

7項目以上がYesなら、購入タイミングとして適正
5項目以下なら、まず家計やライフプランを再点検するのがおすすめです。


【まとめ】「家を買う」ことは「未来の生活を設計すること」

マイホーム購入で後悔する人の多くは「買うこと」だけを目的にしてしまっています。
しかし本来、家を買うとは「これからの人生をどう生きるか」をデザインする行為です。

家そのものよりも、

  • そこに住む家族の生活

  • 将来の変化に対応できる柔軟性

  • 家計の安定

この3つをバランスよく考えた人であれば「失敗しない」住宅を購入できる人です。

焦らずに比べて、計画して
「買ってよかった」と心から言える家を選びましょう。

2025/11/8