認知症になると銀行口座が凍結される可能性があると聞いたことありませんか?
資産が凍結し介護費用を払えないなど、認知症で困るお金の問題を解説します。
2022年9月現在の高齢者人口は3,627万人で高齢者人口率は29.1%です。
介護を必要とする要介護認定者は約690万人、認知症患者は約600万人で高齢者の6人に1が介護を必要とする認知症を患っています。
①認知症になると財産の管理ができなくなる
・認知症が進行すると、銀行口座の管理や支払いなどが難しくなります。
・公共料金や家賃の滞納
・通帳やキャッシュカードの紛失
・使途不明金の増加
・投資詐欺や訪問販売の被害に遭いやすくなる
②認知症になると契約行為が難しくなる
・認知症が進むと「意思能力」が問われ、本人の名義で契約や解約ができなくなることがあります。
・不動産の売買ができなくなる
・保険の見直しや新規加入が困難になる
・携帯や光熱費などの契約変更も難しくなる
③認知症になると成年後見制度の利用が必要になることがある
・判断力が不十分になると、家族でも財産管理が勝手にできず、成年後見制度の申立てが必要になります。
・家族が本人の代わりに不動産の処分など手続きをするには家庭裁判所の判断を必要とする
・成年後見制度の手続きに費用や時間がかかる(申立てから数か月、年間10万円以上の報酬が必要)
・自由な資産活用が難しくなる
④相続や遺言の問題
・認知症になると、法的に有効な遺言書を作ることができなくなる
・認知症発症後の遺言は無効となる可能性がある
・家族間で相続についてトラブルになることも
⑤認知症の高齢者が狙われやすい詐欺や悪徳商法
・屋根や外壁、水回りなどの「点検商法」
・ネットや電話、電力・ガスの「契約切替」
・健康食品や化粧品などの「定期購入」
・パソコンの「サポート詐欺」「架空請求」
・在宅時の突然の「訪問勧誘」「電話勧誘」
・便利でも注意「インターネット通販」
・老人ホームなどの「名義貸し商法」
・高額な健康食品や布団の「訪問販売」
・詐欺的な不動産の投資や売買など
⑥認知症に有効な対策
・遺言書の早期作成
・定期的な資産の見直しと家族との共有
・【予約型代理人サービス】や【代理人指名手続】を利用する
口座名義人である本人が元気なうちに手続きすることで代理人(原則は親族)が本人に代わって手続きすることが可能となる(費用は無料)
・任意後見制度
元気なうちに、自分の大切なことを信頼できる人や団体にお願いしておく
認知症を発症したら家庭裁判所が任意後見監督人を選定する制度
・家族信託の活用
預貯金や不動産、有価証券などの財産管理を家族に託すことができるので認知症になっても家族が本人の財産を管理できる
⑦銀行口座は3つにまとめておく(元気なうちに)
・決済用(年金受取、公共料金引落)
・貯蓄用
・資産運用
ペイオフが気になるなら複数口座で保有することは問題ありません。
ただし外貨預金はペイオフの対象外となりますので注意してください。
⑧【口座振替にしておく】決済用口座
・公共料金(電気・水道・ガス・通信)
・家賃・管理費・修繕積立金
・新聞・NHK放送
・各種保険料
・税金(固定資産税など)
・介護保険サービス利用料
※口座振替を年金の受け取り口座にしておくことで滞納を回避する
認知症はいつ発症するかわかりません。
そのため介護の方針(在宅か施設か)を早くに検討しておき、家族の役割分担も決めておきたいところです。
相続の備えとして、定期的に資産の棚卸しを行い、家族との情報の共有も欠かせません。
ご自身の地域にどのようなサービスがあるのか情報収集する際には社会福祉協議会や地域包括支援センターなどにコンタクトを取ることも有効です。