更新日:2025年9月1日
1.資産運用と保険の関係性を理解しよう
1-1 保険は「保障」と「資産形成」の2つの役割がある
保険は本来、病気やケガ、万が一の死亡時に家族を守る「保障」が第一の目的です。
しかし近年では、保障機能に加えて「資産形成」の側面を持つ保険が注目されています。
たとえば個人年金保険や終身保険は、保険料を積み立てながら将来的に受け取れる仕組みがあり、老後資金や教育資金の準備に利用されるケースが多くあります。
銀行預金ではほとんど利息がつかない低金利時代において、保険を資産運用の一部として取り入れる人が増えているのです。
とはいえ、すべての保険が資産形成に向いているわけではありません。
掛け捨て型の保険はあくまで保障が目的です。
また円建て保険は満期や解約時に返戻金が少ないため「貯める」機能は弱いのです。
資産運用を意識するなら、掛け捨てではなく積立型の商品を選ぶ必要があります。
1-2 掛け捨て保険と積立型保険の違い
掛け捨て保険は毎月の保険料が安い一方で、万が一のときにしか保障を受けられず、解約しても戻るお金はほとんどありません。
純粋に「安心を買う」ものといえます。
これに対し積立型保険は、解約返戻金や満期金があり、長期で加入すれば資産形成につながります。
例えば終身保険や養老保険、外貨建て保険、変額保険などが代表例です。
資産運用として保険を考えるなら、この「積立型」の仕組みを正しく理解しなければなりません。
大切なのは「保障を重視するのか」「将来の資産を増やしたいのか」、自分の目的を明確にすることです。
2.知っておくべき「お宝保険」とは?
2-1 バブル期に契約された予定利率の高い保険
「お宝保険」とは、バブル期や高金利時代に契約された予定利率の高い保険を指します。
当時は予定利率が5%以上の商品も珍しくなく、30年ほど積み立てれば支払った保険料の2倍、3倍になった例もあります。
今の低金利時代では到底ありえない条件であり、長期間保有すれば大きなリターンが期待できるため、資産運用の観点からも非常に価値の高い保険なのです。
実際、多くの保険会社の担当者が「新商品の方がお得ですよ」と乗り換えを勧めてきますが、それに安易に応じてしまうと大きな損をするケースがあります。
2-2 解約・乗り換えで損をしないための注意点
お宝保険をすでに契約している方は、原則として解約や乗り換えをしないのが賢明です。
なぜなら、現在販売されている保険の予定利率は1%程度がほとんどで、過去の契約条件に比べて大幅に不利だからです。
担当者から「保障内容が充実した新商品です」と説明されても、資産形成の観点ではむしろ退化する可能性が高いのです。
もし見直しを検討するなら、まず「本当に今の保険より条件が良いのか」を確認しましょう。
FPや第三者に相談し、冷静に比較することが重要です。
3.外貨建て保険での資産運用
3-1 外貨建て保険のメリットとリスク
外貨建て保険は、米ドルや豪ドルなど外国通貨で運用する積立型保険です。
円建て保険と比べて予定利率が高いため、30年間の積立で20~30%ほど資産を増やせる商品もあります。
低金利の日本円で預けていても増えない今、外貨建て保険は魅力的な選択肢といえるでしょう。
しかし一方で「為替変動リスク」があります。
契約時に円高であれば有利ですが、円安が進むと将来の受取額が目減りする可能性があります。
このリスクを理解せずに契約すると「思ったより増えなかった」と後悔することになります。
3-2 円建てとの比較と契約タイミングの考え方
外貨建て保険は、円建て保険に比べて利回りが高い反面、リスクも大きい商品です。
円建て保険は安定性があり「堅実な資産形成」に向いていますが、リターンはほとんど期待できません。
外貨建て保険を選ぶなら「円高時に契約できるか」が重要ですが、為替を正確に予測することは非常に困難です。
そのため、毎月の積み立てで時間を分散させる「ドルコスト平均法」を取り入れるのが現実的です。
リスクを軽減しながら、長期でコツコツ積み立てるスタイルが向いているといえるでしょう。
4.変額保険の特徴と運用リターン
4-1 投資信託を組み込んだ運用の仕組み
変額保険は、保険料の一部を投資信託で運用する仕組みを持つ商品です。
一般的な保険は保険会社が運用先を決めますが、変額保険では加入者自身が運用先を選べるのが特徴です。
株式や債券、海外市場などに分散投資することができ、運用成果次第で将来の受取額が大きく変わります。
平均して年利5%前後を狙えるケースもあり、30年程度の長期運用であれば掛け金が2倍近くになる可能性があります。
ただし、元本保証はなく、市場が下落すれば元本割れのリスクもある点には注意が必要です。
4-2 長期で増やすための戦略とリスク管理
変額保険を資産運用として活用する場合は「長期保有」が基本です。
短期的な値動きに左右されやすいため、少なくとも10年以上のスパンで考える必要があります。
また、投資対象を分散することでリスクを抑える工夫も重要です。
さらに、毎月一定額を積み立てることで高値掴みを避ける効果も期待できます。
変額保険は投資初心者にとって「保険と投資を同時に始められる商品」ですが、リスクの理解が不十分だと後悔することになりかねません。
契約前に、自分のリスク許容度を明確にしておきましょう。
5.自分に合った保険の選び方
5-1 リスク許容度別のおすすめ商品
保険を資産運用として選ぶときは、まず自分の「リスク許容度」を把握することが大切です。
リスクをほとんど取りたくない人には「円建て保険」が向いています。
安全性は高いものの、リターンは低めです。少しリスクを取ってでも資産を増やしたい人には「外貨建て保険」が候補となります。
そして、より高いリターンを目指したい人には「変額保険」が適しています。
このように、自分の性格や将来のライフプランに合わせて選ぶのが基本です。
5-2 保険を「守る+増やす」資産運用のバランス
保険はあくまで「万が一に備える保障」が本来の役割です。
資産運用の観点から見ても、リスクを取りすぎると本末転倒になりかねません。
そのため、まずは必要な保障を確保した上で、余裕資金を活用して「資産形成型の保険」を取り入れるのが理想です。
守りと攻めのバランスを意識し、「保障+資産運用」という両輪で考えることで、将来の安心を得られるのです。
保険選びに迷ったら、複数の商品を比較し、専門家の意見も参考にしながら、自分にとって最適な一歩を踏み出しましょう。