退職金のお得な受け取り方法は「一時金」?それとも「分割」?

退職金のお得な受け取り方法は「一時金」?それとも「分割」?

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学で年数回の講義を開催。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

はじめに

退職金の受け取り方について悩まれている方は多いのではないでしょうか。

年金や貯蓄が潤沢にあれば問題ないですが、貴重な退職金をお得に受け取りたいという相談は多いです。

今回は退職金2,300万円があったと仮定して「分割受取」が良いのか、それとも「一時金」が良いのか、

退職金の所得控除も含めて解説していきます。

 

22歳から60歳まで38年間の勤務期間がある人の場合で今回は計算をしていきます。

退職時に一括で受取った退職金については、「退職所得」となります。

退職所得は分離課税となるため、他の所得とは切り離して税額を計算します。さらに退職所得控除があるため、受け取った退職金に対して税金が高額にならないような仕組みがあります。

 

退職所得控除額の計算方法は、次の通り勤続年数によって異なります。

 
勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
(80万円に満たない場合には80万円)
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 

 

【退職所得控除額について】

800万円+70万円×(38年-20年)=2060万円

 

課税対象となる退職所得金額は、退職金から退職所得控除額を引いた金額から、さらに2分の1をかけた金額となります。

 

(退職金 − 退職所得控除額)×1/2=課税退職所得金額

 

そのため

(2300万-2060万)×1/2=120万円となり、120万円に対して課税されます。

 

120万円に対して課せられる所得税は6万円となります。

①120万円×5%=6万円

 

ただし、令和19年までは復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1パーセント)があるため、1260円がさらに課税されます。

②6万円×1%=1260円

 

120万円に対して課せられる住民税は10%なので12万円となります。

③120万円×10%=12万円

 

つまり、退職金を一括受け取りした場合には181,260円(①+②+③)の税金を納めることとなります。

 

しかし、2300万円の退職金に対して約18万円の課税となりますが、他の所得より大幅に税負担が軽減されています。

 

もし、退職所得控除がなければ支払うべき所得税は約640万円となります。

2300万円×40%-2,796,000円=6,404,000円

 

退職金2300万円に対して支払うべき住民税(10%)は230万円となるので、所得税と住民税を合わせて約870万円にもなります。支払う税金が約18万円と約870万円では全く違います。

このように、退職所得控除が活用できる退職金の一括受取は税金に対して大きな影響があります。

 

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

出典:No.2260 所得税の税率|国税庁 (nta.go.jp)

 

 

一方で退職金を20年の年金形式で受け取る場合には年115万円(運用益を見込まず)の受給額となります。

こちらは雑所得となります。

そのため毎年の受給額に対して所得税5%、住民税10%が課される場合、

年間に約17万円の税金を支払う必要があり、20年間ではトータルで約340万円もの税金を支払うこととなります。

さらに雑所得の場合は社会保険料もかかります。退職金を一括受取する場合には社会保険料はかかりません。

 

このように退職金の「一時金」であれば退職所得控除があるため所得税と住民税を合わせて18万円程度ですが、

「分割受取」の場合は退職所得控除がないため所得税、住民税の負担は300万円以上の差が発生します。

 

 

年金形式で分割して受け取る場合は運用益が見込めるメリットがあります。

しかし、現在の運用利率では税金や社会保険料で支払う金額以上の利益を期待するのは難しい状況です。

ただ損得の話の前に、

「退職金を一度に受け取ると無駄遣いをしてしまう」という人は「分割」を選択した方が良いと思います。

 

将来に受け取れる退職金や年金が少ないと感じている方はiDeCoやNISA制度を活用して少しでも多く老後の資金を準備するようにしましょう。

【退職金について「お金のプロ」に相談してみる】 

2023/11/17
miyuki matsutani
miyuki matsutani
2023-10-08
最初、セミナーでお話を聞かせていただきました。初心者の私にも分かりやすく、とても良かったので、その後すぐに武田様の著者を購入させていただきました。自分で勉強し、分からない事を後日、個別に相談にものっていただきました。 これから投資を始めようと思ってる私にとって、武田様との出会いが私の人生の転機になると信じて、これからも色々とご指導いただきたいと思っています。
谷口真一
谷口真一
2023-09-19
聞きやすい、話しやすい人柄で、肩肘張らず相談できました。良かったです。
tst mt
tst mt
2023-09-17
まず講座を受講し、投資について率直なご意見をいただいたこと、また親身になってご対応いただいた経験から、個人的にご相談させていただくようになりました。 説明は、初心者でも分かりやすく、どのように資産運用をすればよいのかを的確に教えていただけます。具体的には、投資信託、株及び不動産などのメリット、デメリットを教えていただき、自身の目的に合致した投資方法をご提案いただけます。 わたしも武田様のおかげで、投資の一歩を踏み出すことができました。ありがとうございます。 また今後もよろしくお願いいたします。
M T
M T
2023-07-08
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おだゆき
おだゆき
2023-05-09
将来が不安で投資について何をしたら良いか悩んでいた時にネットで見つけてマネーセミナーに参加させていただきました。 とてもわかりやすく、質問にも丁寧に答えていただいたので まずは何をすべきかを知ることができました。ありがとうございます。 また悩んだ時には相談したいです。
S
S
2022-12-04
不動産セミナーに参加させていただきました。初歩的な質問にも分かりやすく説明していただき有難う御座いました。
K S
K S
2022-11-29
武田先生のコンサルは、 普通のコンサルタントの方の様に皆さんに同じ事を提案する様なものではなく、私に一番適切なものを、性格や行動から導き出し、ご提案してくださいました。社名の由来そのまま愛のあるコンサルが受けれます。女性には特にお勧めかと。20代の息子のお金の先生になっていただこうかとも思っています。武田先生 いつもありがとうございます。
峰環
峰環
2022-11-03
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バックベアード
バックベアード
2022-09-29
保険、投資信託、不動産投資等、幅広い分野と知識で活動されています。 常に相談者の目線に立ち、メリット、デメリットを包み隠さず、提案してくれる、正直ファイナンシャルプランナーです。
7north
7north
2022-08-18
自分と家族の保険について、とても丁寧で詳しく教えて頂きました! 家計や仕事の状況に合わせて、無理ない物を教えて頂けたのでとても有難かったです😍 また機会があれば宜しくお願いします!