仕事が忙しく、貯蓄すべきなのはわかっているけど
なぜかお金が貯まらない……
そんな働き盛り世代の方も多いのではないでしょうか。
ある「簡単な方法」で同年代の平均貯蓄額を大きく上回る金額に到達したAさんの事例をご紹介します。
【30歳を機に「手取りの2割を貯蓄」…一念発起したAさんの事例】
資産形成をするうえで、所得額はもちろん重要な要素です。
しかし、それよりも大切なのは「目的意識」を持つことです。
結婚やマイホーム購入など具体的な目標を見据えることで、なにげなく生活している人と比べ圧倒的にお金が貯まりやすくなります。
大阪市内のワンルームで生活している29歳のAさん。
上場企業の会社員として働くAさんは毎日の仕事が忙しく、将来について考える機会もなく20代を過ごしてきました。
ある日ふと通帳を見たところ、10年近く働いているにも関わらず貯蓄がほとんどないことに不安を感じました。
現在、日本の会社員30代単身世帯の平均貯蓄額は359万円、中央値は77万円となっています※1
※1 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上・単身世帯調査](令和元年)」
結婚や住宅購入など重要なライフイベントを見据え、少しは貯えがあったほうがいいと考えたAさんは、30歳になるのを機に一念発起。
その時に読んでいた本に書かれていた「手取りの2割を貯蓄する」ことを実践してみることにしました。
Aさんの年収は約700万円です。社会保険料や所得税・住民税を差し引いて計算すると、年間の手取り額は535万円ほど。
ボーナスを含めて月々に直すと約45万円(535万円÷12)となり、その2割を貯蓄・投資にまわすとなると「約9万円」になります。
それまでは毎週のように仕事仲間や友人と飲み歩き、おいしい料理やお酒を楽しんでいたAさん。
最初は「月に9万円なんて捻出できるだろうか」と不安を抱いていましたが、飲み会を減らすことで、1ヵ月で約6万円の節約となりました。
さらに、外資系の保険会社に転職した先輩から言われるがままに加入していた生命保険を見直したことで、月4万円だった掛け金を月1万円に減らすことができました。
【2年目は投資信託を開始…着実な積み立てで驚きの貯蓄額に】
1年目は無事に手取りの2割を貯蓄できましたが、「貯蓄しているだけだともったいない」と思ったAさんは、資産運用を検討していました。
その時にファイナンシャルプランナーの弊職が開催しているセミナーへ参加され、投資に魅力を感じられ個別相談を申し込まれました。
まずは証券口座を開設することをおすすめしました。
証券口座は口座の管理手数料が無料です。開設すれば株式投資、投資信託、債券などの金融商品を購入することができます。
仕事の忙しいAさんには月々の貯蓄を投資信託で積み立てることを提案しました。
手間がかからない投資信託を気に入られたAさんは早速、月々の貯蓄を株式タイプの投資信託で積み立てることにしました。
こうして着実に積み立てを実行したところ、1年目の貯蓄は1年経っても108万円のままでした。
2年目以降の投資信託は途中で元本割れして不安になることもありましたが、
状況についてプロのファイナンシャルプランナーから説明を受けることで継続でき、結果的には大きく増えていきました。
それから9年が過ぎて貯蓄額は1年目の貯蓄と9年間の投資信託の合計が1500万円を超えました。
(投資信託で毎月の積立9万円×9年間=972万円に対して利回り8%の結果、約1400万円になります)
40歳になったAさんは、気がつけば老後に必要といわれる2000万円近い貯蓄額を準備できています。
投資信託の株式タイプはリスクが高く、途中で不安になり売却してしまう人もいますが、長期の視点で焦らずに続けることが必要となります。
余裕ができたAさんは、最近はコロナも落ち着いてきたので飲みに行く機会が増えているようです。
また収入に対して税金が高いと感じているため節税について調べられているとか。
経済的に余裕ができると気持ちにも「ゆとり」が持てる方が多く見受けられます。
手取りの2割をいきなり貯蓄に回せなくとも少額からでもスタートしていきましょう。
著者:株式会社FAMORE 武田拓也FP
著書:なぜあの人は「老後のお金」に困らないのか?(クロスメディア・パブリッシング出版)2019年
投資でお金が増える基本の仕組み(クロスメディア・パブリッシング出版)2022年