資産運用に興味を持ち始めたとき、多くの人が最初に出会う商品が「投資信託」と「ETF(上場投資信託)」ではないでしょうか。。
どちらも複数の株式や債券に分散投資できる便利な仕組みを持っていますが、実は仕組みや取引方法、コストに違いがあります。
本コラムでは、投資初心者向けに投資信託とETFの違いをわかりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリット、選び方のポイントをご紹介します。
投資信託とは?
投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金を運用会社がまとめて株式や債券、不動産などに投資する金融商品です。
運用のプロが投資先を選び、利益や損失は投資家が保有している口数に応じて反映されます。
少額から始められる点や、自分で個別銘柄を選ぶ必要もなく、手軽に分散投資ができる点が大きな特徴です。
投資信託は銀行や証券会社、ネット証券を通じて購入できます。
特に近年では、NISAやiDeCoで利用できる商品が多く、長期積立投資に適した仕組みとして注目されています。
初心者にとっての最大のメリットは、「投資のプロにお任せできる」「100円からでも投資可能」という手軽さです。
ETFとは?
ETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)は、名前の通り「証券取引所に上場している投資信託」のことです。
基本的な仕組みは投資信託と同じですが、株式と同じように証券取引所を通じてリアルタイムで売買できる点が特徴です。
たとえば、「日経平均株価」や「S&P500」などの指数に連動するETFは、個別株を選ばなくても市場全体に投資できる手段として人気があります。
加えて、手数料が比較的低く、透明性が高い点も魅力です。
ETFは証券会社から発注でき、株のように「いくらで買うか」を指定して売買(指値)することもできます。
そのため、投資信託よりもマーケット感覚が求められる商品といえるでしょう。
投資信託とETFの違いを比較
ここでは、初心者が押さえておくべき代表的な違いを整理します。
項目 | 投資信託 | ETF |
---|---|---|
取引方法 | 1日1回(基準価額で売買) | 株式と同じくリアルタイム売買 |
手数料 | 信託報酬(やや高め) | 信託報酬(低め)+売買手数料 |
利用制度 | NISA・iDeCo対象が多い | NISA口座では可能だがiDeCo不可 |
向いている人 | コツコツ積立派、初心者 | 自分で売買タイミングを決めたい人 |
投資信託のメリット・デメリット
メリット
少額から投資できる(ポイントでの投資も可能)
NISA・iDeCoなど税制優遇制度と相性が良い
自動積立ができ、投資を習慣化しやすい
運用をプロに任せられる
デメリット
基準価額は1日1回しか決まらないため、リアルタイム取引はできない
信託報酬(運用コスト)がETFより高いことがある
アクティブファンドでは運用成績が指数に劣る場合もある
ETFのメリット・デメリット
メリット
株式のようにリアルタイム売買が可能
信託報酬が低く、低コストで長期運用できる
主にインデックスと連動するため値動きがわかりやすい
世界中の市場や商品に投資できる種類が豊富
デメリット
売買単位が大きいため、投資信託よりまとまった資金が必要
一般的に自動積立ができず、自分で購入タイミングを決める必要がある
iDeCoでは利用できない
市場で売買するため、株式同様に板の流動性リスクがある
初心者はどちらを選ぶべき?
投資初心者にとっては、まず投資信託(特にNISAのつみたて投資枠が対象のインデックスファンド)がおすすめです。
理由は以下の通りです。
・少額からでも投資できるため、無理なくスタートできる
・自動積立が可能で、投資を習慣化しやすい
・税制優遇制度と組み合わせることで効率的に資産形成できる
一方で、投資に慣れてきて「タイミングを見ながら売買したい」「より低コストで運用したい」と思うようになったらETFを検討すると良いでしょう。
特に米国株ETFは人気が高く、世界経済の成長を享受できる魅力があります。
まとめ
投資信託とETFはどちらも分散投資ができる便利な金融商品ですが、取引方法やコスト、利用できる制度に違いがあります。
・投資信託は少額から始められ、自動積立やNISA・iDeCoに対応しているため、投資初心者や長期の資産形成に最適。
・ETFはリアルタイムで取引でき、低コスト運用が可能なため、中級者以上や積極的に売買を管理したい人に向いています。
投資初心者はまず「投資信託」から始め、余裕が出てきたら「ETF」も活用する、というステップアップがおすすめです。
自分の投資スタイルや目的に合わせて上手に使い分け、資産形成の第一歩を踏み出してみましょう。