富裕層のポートフォリオとは?攻めと守りを両立する資産運用戦略

富裕層のポートフォリオとは?攻めと守りを両立する資産運用戦略

著者紹介

代表取締役 武田 拓也

ファイナンシャルプランナー(AFP)/社会福祉士/高校教諭1種「福祉」
代表取締役 武田 拓也

元「高校教員」、現役「専門学校講師」
資産運用歴18年の実力派ファイナンシャルプランナー。
失敗談や成功例を実体験に基づいてお伝えしています。
社会福祉士としてNPO法人の理事や大学校友会の理事長など地域福祉にも取り組み中。
高校や大学、事業団体などで年100回以上の講演を実施。
趣味:人の話を聞くこと、資産運用(株式投資、不動産投資、投資信託、その他)

資産1億円を超える「富裕層」は日本国内に約150万人存在するといわれています。
彼らが共通して実践しているのは「資産を増やすこと」よりも「資産を守りながら増やすこと」です。
つまり攻めと守りのバランスを取ったポートフォリオ設計こそが長期的に富を築く最も重要な要素なのです。

この記事では富裕層が実際に採用しているポートフォリオの考え方や具体的なアセット(資産クラス)配分を詳しく解説します。

1. 富裕層が重視するのは「リターン」よりも「リスク管理」

多くの投資初心者は「どれだけ増えるか」に注目しますが富裕層は逆です。
彼らは「いかに減らさないか」を第一に考えます。
その理由は明確で、資産規模が大きくなるほど一度の損失が致命的になるからです。

例えば資産1億円を保有している人が30%損失を出すと、3000万円が消える計算になります。
その後、元の水準に戻すには43%のリターンが必要になります。
この「マイナスを取り戻す難しさ」を理解しているため、富裕層ほどリスクを最小化する設計を重視します。

2. 富裕層ポートフォリオの基本構造:攻め50%・守り50%

富裕層の資産配分は非常にバランスが取れています。
単なる株式中心の「攻め」ではなく、「守り」の部分にもしっかりと配分を行います。

一般的な富裕層ポートフォリオの例は以下の通りです。

カテゴリ 比率 主な資産内容
守り資産 50% 現金・債券・金・不動産(賃貸・商業ビル)など
攻め資産 50% 株式・エンジェル投資(未上場株)・ヘッジファンドなど

このバランスの目的は、「どんな相場環境でも資産を減らさない」こと。
株式市場が下落しても不動産や債券、金がその損失を補い、逆に上昇局面では株式やPE(未上場株投資)がリターンを押し上げます。

3. 守りの資産構成:資産を減らさないための防御壁

(1)現金・短期債券(10〜20%)

流動性を確保し、緊急時の資金や市場急落時の「買い場資金」として機能します。
富裕層は現金を「遊ばせる資金」ではなく「次のチャンスのための弾丸」として持っています。

(2)債券・社債ファンド(15〜20%)

金利上昇局面では安定的な利息収入源に、景気後退局面ではリスクオフの逃避先になります。
特に米国国債や投資適格社債は人気が高いです。

(3)金・コモディティ・実物資産(10〜15%)

インフレや通貨安へのヘッジ資産として機能します。
金や銀の現物、金ETF、プラチナや原油ファンドも組み合わせることで世界的な通貨価値の変動に備えます。

(4)安定収益型不動産(10〜15%)

都心部の賃貸マンションや駐車場など、長期的に安定した家賃収入をもたらす不動産を保有します。
さらに法人名義で保有することで節税や資産継承にも活用できます。

4. 攻めの資産構成:成長とリターンを狙うエンジン

(1)株式・ETF(25〜30%)

世界的に最も一般的な成長資産です。
富裕層はインデックス投資だけでなく、テーマ別ETFや高配当銘柄にも投資します。
代表的な組み合わせ例は以下の通りです。

  • 米国株ETF(S&P500・NASDAQ100)

  • 日本株(高配当・優待銘柄)

  • AI、ヘルスケア、クリーンエネルギー関連ETF

  • 新興国ETF(インド、ASEAN、メキシコなど)

短期売買よりも中長期での資産成長を重視するのが富裕層の特徴です。

(2)プライベートエクイティ(10〜15%)

未上場企業への投資で、ハイリターンを狙う枠。
上場株と相関が低く、リスク分散効果が高いことから富裕層の間で非常に人気です。
また、自ら経営に関与するケースも多く「投資」ではなく「事業拡大の延長」として位置づけられます。

(3)オルタナティブ投資(5〜10%)

ヘッジファンド、仮想通貨、コモディティファンドなど、伝統資産と異なる値動きを持つ商品です。
リスク管理の高度化を図る上で一定の割合を組み入れることでポートフォリオ全体の安定性を高めます。

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弊社ではエンジェル投資(未上場株)やヘッジファンドなどオルタナティブ投資についても情報提供をしています。

情報が必要な方は気軽にご連絡ください。

5. 富裕層が重視する「地域」「通貨」「税制」の分散

資産を守るためには、投資対象だけでなく「国」と「通貨」も分散することが重要です。

  • 地域分散:日本、米国、欧州、東南アジア、中東など

  • 通貨分散:円、ドル、ユーロ、スイスフランなど

  • 税制分散:法人保有、信託など

特に富裕層は国内の税制リスク(増税、相続税など)を見据え、法人・資産管理会社・海外口座を組み合わせることで安定した資産保全体制を築いています。

6. 富裕層が避ける3つの失敗パターン

  1. 預金偏重でインフレに負ける
     資産が多いほど「減らしたくない」心理が強くなり、現金比率が高くなりがちです。
     しかし、インフレ率2〜3%の時代に現金を寝かせておくことは実質的な資産減少につながります。

  2. 流行に乗りすぎる
     AI関連株、仮想通貨など話題の投資テーマに過剰集中するのは危険です。
     富裕層は「一時的なブームではなく、構造的な成長」を重視します。

  3. 税金と継承を後回しにする
     高収益を上げても法人税・相続税で資産が目減りするケースは多くあります。
     早期に税理士・FP・弁護士をチーム化し、包括的な資産防衛戦略を立てることが欠かせません。

7. 長期的に富を築くための3つの原則

(1)「複利の力」を活用して長期運用を実施する

短期の値動きに一喜一憂せず、リターンを再投資することが最も確実な資産増加法です。

(2)「情報」と「ネットワーク」に投資する

富裕層は金融商品よりもまず人脈と情報に投資します。
優良な案件や未公開情報は常に人脈の中から生まれるためです。

(3)「攻守のバランス」を維持する

景気拡大期には攻めの姿勢を取り、リスクが高まれば守りを強化します。
この柔軟なポートフォリオ調整力が富裕層の最大の強みです。

8. 富裕層のポートフォリオは「安定と成長の両立」

富裕層のポートフォリオは単に「お金を増やす仕組み」ではなく、人生を支えるベーシックインカムです。
そこには明確な哲学があります。

  • 一攫千金を狙わない

  • 景気の波に左右されない

  • 税金・継承まで設計された資産管理

つまり、富裕層のポートフォリオとは「守りながら増やすための戦略」です。
その核となるのは、リスク分散・複利運用・長期視点の3点です。

あなたの資産規模が1億円でも1000万円でも、この考え方を取り入れることで富裕層と同じ資産運用のステージへ一歩近づくことができるでしょう。

周りに流されず、コツコツと継続していきましょう。

弊社では、あなたの「お金」に関するサポートをしています。

気になる事があればご連絡ください。

2025/10/14