会社員や公務員は勤務先で年末調整をされるため、自営業とは違い基本的には確定申告をする必要はありませんが、状況によって確定申告をする必要がでてきます。
今回は会社員や公務員が確定申告することによってお金が戻ってくるケースを見てみましょう。
会社員や公務員が確定申告をする必要があるのは下記の場合です。
⑴年間給与が2000万円を超えている
⑵勤務先以外での所得が20万円以上ある
⑶源泉徴収されない給与をもらった
⑷同族会社の役員等で、その会社から貸付金の利息や資産の賃貸料をもらった
⑸災害減免法により源泉徴収の猶予を受けている
⑹年末調整で処理していない所得控除や税額控除がある など
今回は⑹所得控除と税額控除などによって払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があるケースをご紹介します。
会社員や公務員が確定申告によって払い過ぎた税金が返ってくる主なケースには次の6つがあります。
①ローンを組んで自宅を購入した
②iDeCo(個人型確定拠出年金)をしている
③ふるさと納税で寄付をした
④特定の医薬品を12,000円以上購入した
⑤医療費が年間10万円超
⑥災害や盗難などの被害を受けた
それぞれの内容を確認していきましょう。
①ローンを組んで自宅を購入した
ローンを組んで自宅を購入し、そこに住むことによって住宅借入金等特別控除額(住宅ローン控除)を利用できます。
1年間でローン残高の0,7%、最高14~35万円まで控除されます。(一般の中古住宅の上限14万円、一般の新築住宅21万円、省エネ住宅28万円、ZEH水準省エネ住宅31万5千円、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅35万円
※中古の省エネ住宅・ZEH水準省エネ住宅・認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の控除額は最高21万円)
所得税から控除しきれなかった控除額は住民税から控除することができます。
また控除の期間は新築住宅の場合13年、中古住宅は10年となります。
住宅ローン控除は初めて控除を受ける年だけ確定申告が必要で2年目以降は会社の年末調整での控除が可能です。
ただ、住宅ローン控除を受けるには次の点に注意してください。
・金融機関から借りた住宅ローンの期間が10年以上
・住宅を新築した日または購入した日から6か月以内に居住する
・住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続き居住している など
仮に省エネ住宅に該当する4,000万円の新築住宅を購入した場合には下記の計算から28万円の控除が受けられます。
4,000万円×0.7%=28万円
②iDeCo(個人型確定拠出年金)をしている
iDeCoに加入している人は1年間に払った掛け金の全額が控除されます。
基本的には勤務先において年末調整で手続きをしてもらえますが、書類を出し忘れた場合には確定申告をしましょう。
例えば月2万円の掛け金を払っている場合、年間24万円の掛け金となります。
年収600万円の会社員で所得税10%、住民税10%の場合、それぞれ24,000円の節税となります。
※復興特別所得税は考慮せず
iDeCoをするメリットがあるのか、それともNISAや他の資産運用をした方が良いのか判断に迷う場合はお金のプロに相談してみましょう。
【iDeCoやNISA、その他の資産運用について相談してみる】
③ふるさと納税で寄付をした
ふるさと納税は自治体へ寄付することにより、2000円の負担で特産品などが手に入る制度です。
寄付金から2000円を除いた金額が所得税と住民税から返ってきます。
ただ、寄付金額が一定額を上回ると自己負担額が2000円を超えてしまうので民間のふるさと納税サイトの試算ページなどで確認しておきましょう。
寄付先が5か所以内であればワンストップ特例により確定申告は不要ですが6か所以上の自治体に寄付する場合は忘れずに確定申告をしましょう。
また、寄付先が5か所以内でワンストップ特例の申請をしていても、確定申告をすると特例が消滅してしまうので忘れずにふるさと納税分も含めて手続きをしましょう。
年収600万円の単身者の場合、ふるさと納税の目安は77,000円です。
仮にふるさと納税を77,000円した場合には寄付金額77,000円から2,000円を引いた約7,5000円が所得税と住民税から控除されます。
④特定の医薬品(スイッチOTC医薬品)を12,000円以上購入した
医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)もしくはドラッグストアなどで購入できる特定の医薬品(スイッチOCT医薬品)を年間に12,000円以上購入した場合にはセルフメディケーション税制を利用できます。
これは対象医薬品の購入金額から12,000円を引いた金額が医療費控除額となります。セルフメディケーション税制における医療費控除の最高額は88,000円です。
仮に年間の対象医薬品の購入額が10万円の場合には12,000円を引いた88,000円が医療費控除額となります。
⑤医療費が年間10万円超
1年間に多額な医療費を支払った場合には一定の金額を所得から差し引くことができます。
例えば医療費負担額から保険金を除いた金額が30万円の場合、そこから10万円を引いた20万円が医療費控除となります。
④に記載したセルフメディケーション税制との併用することはできないので、確定申告にて申請する際にはいずれか一方を選択することになります。
また医療費は生計が同じ家族の分を支払った場合には合算することが可能です。一緒に住んでいなくても毎月生活費を送っているような場合には生計が同じとみなされます。
医療費控除額が20万円の場合には約2万円の還付が受けられます。
⑥災害や盗難などの被害を受けた
台風や地震などの自然災害や火事、盗難などにより被害を受けた場合には雑損控除を受けることができます。また、直接の被害だけでなく、災害に関連して支出した費用も控除の対象となります。ただ、保険金が出た場合はその金額を差し引くことになります。
例えば台風で300万円相当の被害があり、保険金が150万支払われた場合には下記の計算から90万円の控除となります。
【300万円-150万円-年収600万円×10%=90万円】
確定申告することによって約9万円の税金が還付されます。
①~⑥の内容に該当すれば会社員や公務員も確定申告によって還付金を受け取ることができます。
状況によっては支払っている所得税と住民税の大半が返ってきます。自分自身が利用できるケースがないか確認してみてください。
還付金は手続きをしてからおおよそ1か月後に指定の口座へ振り込まれます。
返してもらえる税金があるのに知らずに取り戻せないことがないよう最新の情報をチェックしましょう。
また、節税やお金の知識を身に付けることで日々の生活が楽になります。より詳しい情報が必要な場合はセミナーや個別相談をご利用ください。
【確定申告に関連する相談内容としては「不動産購入」が最多】
弊社では確定申告に関連する相談内容として「不動産購入」が最も多くなっています。
住宅を購入することによって利用できる「住宅ローン控除」や収益不動産を購入することにより不動産賃貸業をしていることになるので「減価償却」や自営業のように「経費」を活用することができます。
仕組みを理解して上手く利用できれば問題ありませんが、よくわかっていない人は要注意です。
人任せにせず、しっかりと知識を身に付けておきましょう。
あなたの悩みを解決するための選択肢を下記の⑴~⑶からお選びください。
【⑴自宅を購入するときの注意点を知る】
【⑵不動産投資について学ぶ】
【⑶お金の専門家(FP)に相談する】
※所得税10%、住民税10%にて計算し、復興特別所得税は考慮していません